「あと2K」

いわなみ家の話

第91話

「あと2K」

 

先月、美容室で手を伸ばした女性誌にあった「老後の不安5K」の特集。

健康、金、介護…。

友人にウンチクを披露しようとしたけど、あと2Kは何だっけ?

いくら考えても思い出せない。

老後はまだ我が身に差し迫っていないってこと?

じゃ、差し迫ってる3Sなら分かる?

「シミ、シワ、白髪」。

これ、老化の3Sだそう。うまいこと言うじゃん。余計なお世話!

 

ここ数ヶ月、ふくらはぎや太ももの筋肉痛がひどかった。もちろん、パン作りの立ち仕事の影響。

土間に作ったパン工房の床は、打ちっぱなしのコンクリートとタイル。

Amazonやニトリで低反発マットを購入してみたり、ワークマンの靴底の厚いシューズを試してみたり。

ん~、どれも効果がない。

脚の筋肉痛に加えて、K 腰もガクガクする。無意識のうちに下っ腹を突き出して、作業台で腰を支えている自分。

次にAmazonでポチったのは、K 骨盤ベルト。

これが効いた。わたしの骨盤は緩んでいたのだ。

次女を出産したのは36歳の時。出産翌日に便意をもよおして産院のトイレで踏ん張ったら、出てくるべきじゃないモノが出てきた。

「せんせい、黒いものが出てきたんですけど!」

「あー、それ、ゾーキダツ」

「臓器 脱?( ゚ロ゚)!!」

赤ちゃんを通すために最大限に広がった骨盤のおかげで、なんなくゾーキが出てきたらしい。

産後の悩みは他にも。くしゃみや咳をしただけで「あっ!」。

「ママ、二重跳びやってよー」となわとびを渡されて、本気で飛べるようになったのはここ数年のことだ。

産後のカラダがやっと元に戻ったと思ったら、今度は加齢による緩みか…。

秋めいてきて、朝、小一時間散歩をするようになった。花や田んぼを愛でて歩いているように見せかけて、本当は下半身に意識を込めて、ガッシガッシと進んでいる。

43歳の2Kは(腰・骨盤)。2Kまわりの筋力アップを目指します。

長く働きたいから!

老後のあと2Kはなんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メガネのくんちゃん」

いわなみ家の話

第90話

「メガネのくんちゃん」

小学校の入学式で、1人か2人は見かけたことがあるでしょ。

目がクリクリっと大きい、メガネの新1年生。

あの子たちは、もっと小さいころからメガネの生活をしています。

私の初恋の相手くんちゃんも、学年でただ1人、メガネをかけていました。

鉄棒が上手で、勉強もできて、そのうえメガネの顔がカッコよかった…。

 

小児弱視は、3歳ごろの健康診断で発見されることが多いそうです。

長女も、検診でひっかかりました。

 

「このままでは左目の視力がなくなります」

と言われたことを思い出します。

 

「小児弱視用の眼鏡をかけること自体が、治療です」

遠視や乱視が入った小児弱視のレンズは、ド近眼のレンズと違って、

メガネをかけると、目がおっきくなります。

 

「子供の視力は8歳から9歳までに成長を完了します。それまでが勝負です」

メガネをかけるだけではなく、視力が弱い左目のトレーニングも欠かしません。

正常なほうの右目を隠して、ぬりえや、工作など、細かな作業をして左目の筋トレ。

3歳から今まで、どれだけ100均のお世話になったことだか。

トレーニングに使えそうな、きらきらシールや、消えるペンや、ミニぬりえ…買い漁ったなぁ。

治療とトレーニングの甲斐もあり、矯正視力(メガネをかけている状態)では1・0まで見えるようになったので、「弱視」ではなくなりましたが。

 

長女は来月で10歳。

残念ながら、裸眼でこれからの人生を送ることはないようです。

視力が止まったとみえて、最近ではレンズを通さず、フレームの上から右目をのぞかせてテレビをみていたり…。

その都度注意しても、見えやすいほうの目を使ってしまいます。

 

レンズの度があっていなければ、また新調かぁ。飛ぶなぁ、お金。

 

先日、JINSへ自分のメガネを新調しにいきました。

入店からお渡しまで驚きの40分!ええー、このド近眼の私でも?(しかも8800円)

 

いつもなら、

「お客様は近視がかなり強いので、この非球面レンズをお勧めしますが、取り寄せです」と言われるのが常で、

「お渡しは2週間後」。メガネの新調は一大事だったのに、時代は変わったなぁ。

 

売り場には、子供用フレームも充実。

そうそう、くんちゃんは、37年前には珍しく、茶のべっこう柄のフレームだった!

母が、小3の私に選んでくれたフレームも、茶と赤のトラ模様をしたまんまるフレーム。

 

娘よ、メガネを手放せないモノ同士、オシャレにいこうか!

現状を受け入れ、前向きシフトチェンジだ。

 

(現状)今回JINSで選んだ韓国オシャレ女子風まるメガネは、子供たちに超不評

(前向きシフトチェンジ)またふらっと買いに行こうっと

 

 

 

 

 

 

 

 

「初盆、待っています」

いわなみ家の話

第89話

「初盆、待っています」

 

「お盆の営業はされますか?」

と質問受けることが多くなってきました。

ハイ、昨年同様、お盆の8月14日(日)と16日(火)、いわなみ家は営業します。

お届けパンの常連さんで、みどりさんという、関東在住の方がいます。

みどりさんからメールが届いたのは今年の春のことでした。

「実家がいわなみ家の近くで、よく母がお店にパンを買いに行っていました。『八木沢においしいパン屋ができたよ』って教えてくれたのも母でした。その母が昨年末亡くなりました。今回もお届けパンをありがとうございます。母も喜んでいると思います」

ふと私は、いわなみ家の縁側に並んでくれたお母様の顔を思い出すことができました。

お母さんのほうだって、いつだったか嬉しそうに

「この前の申し込み日に、娘がお届けパン頼んだって言ってました~。メール届きました?」って言ってましたから。覚えてます。

みどりさんが初盆で帰省しているかなと思い、お盆もパン屋を開けます。

母と娘の記憶をつなぐパンを焼けて光栄です。

「川崎の娘がブログを読んで、『きもだめしなつかしいわぁ』って言ってたわよ」

と声をかけてくれたのは、いわなみ家の2軒おとなりのKさん。八木沢で育った娘さん、お盆には帰省しますでしょうか。待ってますよ。

「八木沢のとなりの赤留(あかる)が実家で、50年以上前に赤沢小学校に通っていました」という小田原のSさん。

「八木沢が実家です。わたしの地元を盛り上げていただき、嬉しい!勝手にこっちで八木沢の観光大使をやってます」とお便りをくれた宇都宮のHさん。

みなさん、おかえりなさい~

お会いできれば嬉しいです

 

 

 

 

 

 

 

「ハートウォーミングきもだめし」

いわなみ家の話

第88話

「ハートウォーミングきもだめし」

 

いわなみ家がある会津美里町八木沢地区には、意外にも子供がたくさん。

空き家になっていた古民家がこの地にあったとはいえ、子供を含めたご近所さんはどんな面々か、移住者にとっては宝くじのようなもの。サマージャンボ宝くじ、1等レベルでした。

「コンニャク、すっかー?」

「今の時代は、あれだべ、ハラスメントになっかもしれん(笑)」

「国見神社スタート、福泉寺ゴールでいい?」

「俺らんときも、そうだったなぁ」

夏休み入る前から、八木沢子供会を運営する大人たちが公民館に集まって例のイベントを計画していました。

八木沢に代々伝わる「きもだめし」。

 

最高気温が37度を記録した猛暑日の夕方、あたりが薄暗くなるのを待って決行されました。

スクールバスでいつも同じ停留所から乗る小学生17名、その妹弟6名。

上級生をリーダーに、4班に分かれ、時間を空けてゴールを目指します。

その間、大人たちは子供会グループライン上で、

「おどかし係、配置につきました!」「1班出発しました」「2班流します」と秘密裏に連絡を取り合います。

どこからともなく「助けてぇ、ぼくはここだよ~」と聞こえてくる謎の声、不意にかかる水しぶき、背後から襲う白い物体、道路わきに並ぶヒトの頭部…。スマホ内蔵の音声も、水鉄砲も、ごみ袋をかぶったパパも、美容室のマネキンも、大成功でした。

本気で泣きわめく女の子がいれば、「〇〇君のパパだ!」と見抜く子もいて…。

コンニャクをTシャツの中に突っ込む、という昔ながらの方法は来年かな?

 

ハートウォーミングな出来事はここからいくつも起きました。

ゴール地点の福泉寺はお寺の配慮でライトアップされ、境内には明るい曲調のBGMが流れていました。

怖がった子供たちをリラックスさせるために。

本堂に一礼したあとは、お寺からのお菓子のプレゼントも。

もと来た道を帰るとき、真っ暗になった農道を、だれかのパパの車がゆっくり最後尾について、ロービームで照らします。

小さな子供たちの足が長い影になって、なだらかな下り坂に映りました。

遠くには花火大会の大輪の花。ああ、夏休み。

 

ここ八木沢周辺は、昔から、田んぼの区画整理や治水がうまく進んだため、今でも、親・子・孫世代で暮らす人たちが減少しないでいるそうです。青々と広がる巨大なサイズの田んぼを見るにつけ、納得させられます。

この日の子供会イベントも、八木沢自治会からの補助金で行われました。

小さい子供がいる家も、隣のじーちゃんばーちゃんのように子供がいない家も、地区全体で子供を育てるってこういうことなんだなぁ。ここで子育てができていることは、かなりラッキーなことかもしれない。

 

 

 

 

「ハウマッチおこづかい?」

いわなみ家の話

第87話

「ハウマッチおこづかい?」

2022年も折り返し、下半期に突入。

床の上に瓶を広げ、緊急会議が開催されていました。

「もう500円玉7枚しかない、やばい」

正月に帰省したときに福岡のじーじにもらったお年玉は、

ビオフェルミン錠剤の小瓶にぎっしり詰まった500玉30枚。

「来たときにしかもらえんとよ」と言って娘たちに小瓶を渡すじーじ。

孫に会える日を心待ちにして日々500円貯金を続ける父の姿と重なって、

私自身とても気に入っているお年玉システムです。

 

お金は無尽蔵にあるわけではないことに、半年かけてやっと気づいた子供たち。

最近では少女漫画にはまっていて毎月購読しています。

月刊ちゃお(7月号640円)

月刊なかよし(7月号650円)

それに加えて、会津美里町の109とでも言えようダイソーで買いたいものもあるらしく、順調に瓶の底が見えそうなのです。

ところで、小学生のおこづかいってどのくらい?

気になって、身近なリサーチをいくつかしてみました。

  • 「定額制。野比のび太、小学5年、月500円」

…って、これは昭和の設定?参考にならないなぁ。

  • 「申告制。必要なものとその理由が妥当ならその都度お金を渡す」
  • 「歩合制。小遣いというよりおだちん。働きと出来(仕上がり)に応じて金額を決める」

歩合制はいわなみ家です。

基本給はパン屋の手伝いは1回100円ですが、勤務態度によっては0もあり150円もあり。

土日の洗濯物干しは50円。ただし、シワの伸ばし方が甘いと減額されます。

これで月額最大800円の収入は見込める計算です。

 

先日、地域のお祭りにたくさんの屋台が出ていました。

町内の小中学校はこの日特別休業で、お小遣いをもって買い物を楽しむ子供たちの姿も多くみられました。

ここでもリサーチ。

「今日はおこづかいいくらもってきたのー?」

「ママに1000円、おばあちゃんに1000円もらってきた」

ギョ!金銭感覚の違いっ。

お年玉もおこづかいも、家それぞれ。

1日で2000円ゲットしたらうちの姉妹は仰天するでしょう。

タピオカジュースが600円、ケバブが550円、射的が1回500円、チョコバナナが1本400円。

ハイブランドの屋台メインストリートを通り過ぎ、一番隅っこの店で1つ250円のかき氷を姉妹にそれぞれ買い与えながら、母は「どうすっかなぁ~」と思うのでした。

そうそう。ケバブ屋の兄ちゃんが、大型扇風機の前をひとりで陣取って、でっぷり膨れた肥満の腹を放り出して涼んでいました。あれは見ているだけでも不快。

どの店にいくら払うか、限りあるお小遣いを持った子供たちには、ぜひ選んでもらいたいものです。