「わたしの家は、パン屋さん」

いわなみ家の話

第45話

「わたしの家は、パン屋さん」

 

長女が9歳になりました。

この子が1歳になったとき、「パンを生業にしよう」と決心して、今の私です。あれから8年!

その長女が、週末の宿題として提出していた作文を3週間分、原文のまま掲載します。

(ブログ一回分もうかった!笑)

 

「わたしの家は、パン屋さん」

パン屋さんは、毎週日曜日と火曜日ですがお母さんがいそがしいのは、土曜日と月曜日です。

なぜかというと、パンの生地を作っているからです。パンの生地は、はっこう(ふくらむこと)させるのに8時間もかかるそうです。だから前の日からはじめています。

(中略)

なぜパンを作るのか、お母さんに聞いてみました。家族だけではなく近所の人ちいきの人、福島の人に自分のパンを知って食べてもらいたいからだそうです。

(中略)

夜9時になるとお母さんはかならずねます。夜中の1時にはパンをやくために起きなければならないからです。1時になると、ラジオをつけるそうです。すると、お母さんはさびしくなくなるそうです。そして、生地をはっこうきに入れます。ベーグルの生地をはかりではかり、生地を切り分けます。

コーヒーとチョコレートのきゅうけいをと中でしているそうです。

しっぱいしてしまったパンは、わたしと妹とお父さんが朝ごはんに食べます。

わたしは妹と一緒に、10時ごろにちゅう車場をかりている近所の人にパンを2こくらいわたしに行きます。

お店がオープンする10時30分にお客さんの名前をよんでパンをとるためのかごをわたします。すどうさんやすとうさんがいて、よぶのがむずかしいです。ならっていない漢字はお母さんにおしえてもらいます。4人ずつよびます。なぜかというと、新がたコロナウイルスかんせんぼうしのためです。

わたしの仕事はレジです。合計金がくとおつりの計算をします。おこずかいをもらっていて、多くて、160円くらいです。

気をつけていることは、お客さんのエコバッグにパンをつめるとき、アーモンドトーストという、パンに粉がふってあってその粉がちがうところにいってへんな形にならないようにしています。

 

 

最後のほう、集中力切れてきて、「あれ?まとめの段落は?」と聞きたくなりますが(笑)、オチやまとめを要求するのは野暮かな。

親バカながら、良く書けていると思いました。

いつもありがとう、最高の共同経営者だよ!

「フリーランスは休むのが下手」

いわなみ家の話

第44話

「フリーランスは休むのが下手」

 

「就労証明書」を作成しています。

就労者(ワタシ)は職場の担当者や上司(ワタシ)に作成を依頼します。注意書には「就労先事業者(ワタシ)に無断で作成し又は改変を行ったときは、(ワタシが)刑法上の罪に問われることがあります」とのこと。

自営業者は自作せねばならないのが、この「就労証明書」。

来年度の、放課後児童クラブ登録のために役場に提出します。役場担当者によると、会津美里町の子育て世代の共働き率は9割。就労証明書を提出しても、労働時間が短かったり、子育てに祖父母の協力が得られると判断されれば、児童クラブに入れないこともあります。

ある1週間で労働時間を計算してみたら、69時間(休憩含む)でした。

「ひと月あたりの労働時間が過労死ライン(月250時間以上)をオーバーしてますよ、聡子さん」

友人にこう指摘されましたが、実はねー、好き放題やってるんですよねぇ。

勤務時間内にラジオ聞いてるし、YouTube流してるし。

通常の事業所勤務よりはるかにストレスなく働いていて、イレギュラーな店休日を含めると、ひと月の労働時間は過労死ラインをこえていませんでした。

とは言え、あとちょっと休みの日を増やさないといけないな~と、書類を埋めながら思いました。

 

先日、自営業者の友人にオススメされたYouTubeは真面目な番組で、「佐久間宣行と‘はたらく’トーク」。

ゲストは、お笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢さん。

佐久間さんは元テレビ局のプロデューサーで、今年フリーランスになったばかり。森田さんは大手芸能事務所を退所してフリーになり、もう1人の相方とマネージャーの3人で立ち上げた事務所の社長でもあります。

自営業者の私には、この売れっ子フリーランス2人のトークは興味深いものでした。

「仕事と休みの切り替えがわからない。休むのが下手」というリスナーからのお悩みには、

「おれもワカラン。休みの日になにしていいかワカラン(森田)」。

さらに、森田さんは正直なことに

「フリーになって休みがない自分にちょっと酔ってる部分もあるんですわー」。

確かに。フリーランスで休みが余るほどあったら仕事がないってことだもんね・・。

森田さんが言うように、「休んでもうた(休んでしまった)」と、休みの日にしたことに罪悪感を感じてしまうことが、以前の私にもありました。

解決策として、一歩大人の佐久間さんはこう言います。「仕事の延長線で楽しいことを休みの日にしてみる。仕事上、勉強にもなるし、糧にもなって、楽しいこと」。

仕事が好きで休むのが下手なフリーランスには、このアドバイスはいいなと思いました。

 

ということで、ミスタードーナツではどんな秋の新商品が出ているか、仕事の延長線としてお茶してきます!

 

 

 

 

 

「イケないパン」

いわなみ家の話

第42話

「イケないパン」

白状します。

塩を入れ忘れたパンを大量に焼いてしまったことに気づいたとき、ある邪な感情が起きたことを・・。

山食の生地は、もちろん文字通り山食パンにもなりますが、

「やっこいあんバタサンド(1つ270円)」や「アーモンドトースト(1枚250円)」にも変化します。

あんこと有塩バターたっぷり挟んでるからイケるんじゃないか・・?アーモンドバター塗ってるからイケるよね・・?

この場合、イケるというのは、「なんとかクリアできる、なんとか通過できる」という意味の関西弁です。

売上金に目がくらんだ?情けない。

 

「送ってくれたら塩ふりかけて喜んで食べるよ!」

「高血圧予防パンとして売れば?」

わたしを案じて救済策を提案してくれた友人たち、ありがとう。

パンは「粉、塩、水」が三位一体となって成立するもの。言い換えれば、そのどれかひとつが欠けるとパンにはならない(と、私は思う)のです。

塩は、粉に対して1.8%程度しか入っていませんが、塩が入ることで初めて、粉の風味が立ち、天然酵母の複雑な旨味が再現されます。

昆布と鰹節でとった出汁に、ひとつまみの塩を入れるだけで、ごちそうスープになりますよね。塩がなければ、日高や枕崎が泣きます。

 

迫る開店時間。

きれいに整列したアーモンドトースト20枚から、1枚を手に取り、目をとじてかじる。

イケるわけない。1円もつけられない。

かくして、定刻10時30分には、邪な感情を吹き飛ばしてお客様の前に立つことができました。

売らなかったパンたち、どうしたかって?

無塩パンでもわたしの分身。どうしても燃えるごみには出せませんでした。

コンポストに放り込みました。

次の春にはウチの庭、小麦畑になってたり、山食の花が咲いてたりするかも!

「歯と塩」

いわなみ家の話

第41話

「歯と塩」

 

パン生地を仕込むとき、一番目に留まる場所に「歯と塩」と大きく書いたメモ書きを貼っています。

歯は、担当の歯科医から「いわなみさーん、パンやってるときも歯くいしばってるんでしょうねぇ。歯が削れてきていますよ」と注意を受けたので、意識して歯と歯を離すようにしています。

歯はさておき・・。

塩は、「生地への塩入れ忘れ注意」です。

なのに、なのに、やっちゃいました。

 

山食9斤分、小麦粉にして2800グラム、山食生地を3種類のパンに変えると、売り上げは9900円分。パーです。

開店前、子供たちといつものように山食の端っこを朝ごはんに、ひと口かじった瞬間。

「あーーっ、しまったー、やってしまったーー」

両手で顔を覆い天を仰ぐ母に続いて、パンをかじった娘たちもすぐに気がつきました。

「なんか・・味、しないね」

 

自家製天然酵母の力で十分に生地を膨らませるため、いわなみ家では塩を「後入れ」しています。

これ、ちょっとしたパン用語で、発酵を遅らせる要因となる塩を後から入れることで、スムースに発酵を促します。

「後で塩入れよう」

の合間に、洗濯物を干し、小3の漢字ドリルに目を通し、小1の音読を聞き・・。

いやいや、そんなの言い訳で、全ては私の慢心が招いたミスです。

ただ1つの救いが、販売前だったということ。

無味のパンを販売していたら・・と思うと背筋が凍ります。信用を失うところでした。

その日の販売では「パンとして食べないで、パン粉にしてください!」と念を押してご希望のお客さんに差し上げました。

せいぜい、ハンバーグのつなぎです~。

 

ちなみに、お昼はカップ麺でした。

下の子に、なに食べたい?と聞くと

「しょうゆのカップラーメン。だってかえちゃん、朝、塩たべてないもん」

くーっ。さすが味の分かるオンナ。

痛いとこついてくるー!

お母さんまだ立ち直れてないんだよぉ

 

 

「リビングが片付く時」

いわなみ家の話

第40話

「リビングが片付く時」

先日、友人から雑誌「天然生活」をもらった。

10月号の特集は「収納にひと工夫ある家」とだけあって、日々の道具を、竹やアイアン(鉄)のバスケットにうまく収納する例を写真とともに紹介。

茶色やシルバーで統一されたリビングにキッチン。

ほほぅ、素敵~。

はぁ、理想~。

と、ページを進めていく手が早まる。

「こんなの出来っこない!ありえなーい」

バタンと雑誌を閉じて、我が家のリビングと台所を見回してみた。

 

「さわるな」の注意書きのある制作中のレゴ、「見ないで」の注意書きのある私への誕生日プレゼントと思われる折り紙。靴下片一方だけ。国語三(下)、自由帳。

娘らのせいばかりにもできない。

製粉業者への注文付箋、明日のラインナップ予定メモ(冷蔵庫)、各種小麦粉、乾燥中で広げたままのタッパー。

体温計、部屋干しハンガー、ついに夏を越してしまった石油ストーブ。

生活感がないどころか、生活感しかない。

以前、とある雑誌社から取材を受けたとき、カメラマンに、ありとあらゆるリビングのこういうものを、取り払われた。

おかげで、掲載された1枚は、「完璧にリフォームされた古民家のリビングでくつろぐおしゃれ夫妻」になったけど。

あの1枚やこの1枚は、ほんとうのリビングの姿じゃないことを知っている・・(笑)

 

最近は、パン屋(日曜日と火曜日)のあとに、私や古民家に興味があって訪れる方がちらほら。

「どうやってお店はじめたんですか?」

「工房を見せてもらっていいですか?」

「古民家に興味があって・・」

工房見学ノープロブレム!

ありのー、ままのー、でよければ。

 

ただし、午後2時は睡魔がやってきまして、ワタシは機能不全となります。

よろしくご理解ください..zzZZ