「プレゼン求む」

いわなみ家の話

第129話

「プレゼン求む」

小6の長女が、夏休みの自由研究で、自宅のフキから繊維を取り出して紙漉きをしてみたいという。

きっかけはマンガ日本の歴史を読んでいて、「清少納言が白い紙をもらってとっても喜んでいたよ」とのこと。ふんふん、殊勝なことだ。ちょうど母も大河ドラマのマヒロちゃん(紫式部)をNHKプラスで追いかけているし、これなら助けになれるワ!

材料もきっかけも、口出しサポーター(私)もばっちり。

だけどウチには「ミキサーがない」「買って」とのこと。

スマホのアプリで楽天ショップに入って、ミキサーを検索してあげて、娘に手渡す。

値段は1000円から15000円まで、機能もクチコミ☆の数もさまざまだ。スクロールしてもしても果てしなく商品は並んでいる。

娘「じゃ、コレ~」

出資者A(父)も出資者B(母)も、さすがにこれでは納得しない。とくにAさんはシビアだ。

A「なぜこの商品がいいのか、どうして必要なのか、プレゼンして」

娘「安いし、☆も、まあまあいいし…」

A「グダグダやん。ほかにも安いのあるよ?」

娘「だってー、ママがこれ良さそうって言ってたからぁ」

B(それを言うな~)

娘「だってー、クチコミとか読んでたら分かんなくなってくるんだもんー」

B「たしかにー。クチコミってホントかどうか分からないしね」

A「パパがクラウドファンディングってやってるの知ってるでしょ?あれ、テキトーなこと言っても相手はお金出して協力してくれんよ。この人がこんな風に言うなら!って思わせなきゃ」

珍しく(!)Aさんと意見の一致をみた…。

私も、自分自身が小学生のころ、「シャープペンシル(振って芯が出るやつ)が欲しい」と親にねだって理由を問われたとき「だってクラスの全員持ってるもん(大ウソ)」とプレゼンして却下された話も娘に披露し、その重要性を説く。

娘「今家にあるやつはぁー、小さくて、紙漉きのとき水入れたらあふれちゃう。それに、自由研究終わったらスムージーとか作れるよ?わたし1000円出すからさー、残りはパパとママ出してくれない?」

これには出資者Aも

「それだよ、それ!そーゆー理由」

スポンサーの心をつかんだよう。

しかし、コツをつかんだ娘

「大容量ハイパワーで取り外しカンタン、お手入れ楽々(サイトの売り文句読む…)、それにコンパクト収納!今ならお得~」

お調子者!(笑)

 

 

 

 

「オキャクとの遭遇」

いわなみ家の話

第128話

「オキャクとの遭遇」

5月は、パン屋以外で、お客様に会うわ会うわ。

休日の水曜日。白いスニーカーが薄汚れてきたので新調しにABC-MARTへ。

白いニューバランスA、18000円

白いニューバランスB、21000円

え~、ニューバランスってこんなに高かったっけ?オータニ夫妻のせいじゃないのー?と心の中で呟きながら物色していると

白いニューバランスC(セール品)、8500円

発見。これだ!

「あのー、白のニューバランス、24.5cm試してみたいんですけど…」

店員さんを呼び止め、A、B、Cを履いてみるも、履く前からCと心は決まっていて…。はい、つい見栄を張ってしまいました。

レジで会計を済ましたあと、レシートを渡す店員さんが一言。

「いつもお届けパン、ありがとうございます~」

えー!16000円のにすればよかったか…?

またある週末は、猪苗代湖畔のオシャレな雑貨店へ。

素敵なガラス食器4500円、1点モノのカップアンドソーサー3800円…そして私がレジに持って行ったのは450円のキッチンクロス1枚。

「もしかして、パン屋さんですよね?」

 

先週の日曜日は、パン屋営業のあと、顔も洗ってコンタクトも外し、「ド近眼すっぴんメガネ誰にも会いませんよーにスタイル」で、娘のメガネを買いにM市場へ。

「お待ちの間、お母様のメガネもクリーニングしましょうか?」

「いや、ほら、小麦粉がいっぱいついてるんで(はずかしー!)だいじょぶですっ」

「(顧客名簿を記入しながら)いつも美味しいパン、買わせてもらってます!」

こちらこそいつもありがとうございます!

ある時は客となり、またある時は店員となり、わたしたち、経済回してるぅ~。身をもって感じた5月でした。

 

 

 

 

「部長の成長」

いわなみ家の話

第127話

「部長の成長」

前回の投稿から時間が経って、長女は小6、次女は小4になりました(経ちすぎ!)

愛用の業務用オーブンは、パン生地を入れた後に「蒸気ボタン」を押すと、「シューッ」と熱いミストが出ます(膨らみがよくなります)。

先日、「シュー!」の勢いで壁に張っていた付せんが舞いました。

  • テロフン加工のフライパン
  • スキー場のメレンゲ
  • 米アゾリナ州でキャンプ中の大リーグ大谷選手
  • クロトワチーズのブリトー
  • みしろの金

コレ、長女のいい間違え集のメモです。どうもカタカナに弱いのはワタシ譲りのようで、傑作を連発するので大事にメモにして残しています。

そんな長女は、レジンや樹脂粘土で作るミニチュアのパンやスイーツに夢中で、YouTube先生に師事してメキメキと力をつけています。

(親バカの店主は、いわなみ家ミニチュア部の部長に任命しました)

今日は午前中、次女と私とで用事があり、部長に留守番を頼みました。

留守中、パンを受け取りにきたお客さんにお代を頂戴したり、洗濯機を回していてくれたり。

あー、頼もしいこと(今度は干しておいてね♡)

ちょっと寂しかったのか、部屋の片隅をマットレスと布団で囲い、秘密基地なるものを作ってミニチュア製作をしていました。抹茶フラペチーノを作っているんだって!(まだスタバに行ったことないのに~)

 

 

「パン教室が頓挫中です」

いわなみ家の話

第126話

「パン教室が頓挫中です」

タイトルの通りです…。

昨年末から再開した、いわなみ家のパン教室ですが、会場として借りている町役場の調理室が使えなくなりそうです。

理由は、調理室は「公民館の施設の一部」なので、「(公民館では)営利目的の活動は認められない」からだそうです。

みなさんからいただくレッスン代の内訳は、材料費、レシピ意匠料、指導料、そして確かにわたしの「儲け」も入っています。

これを「材料費のみ徴収」ならば営利にならず、施設は利用できるそうです。

(そんなの、やってられません…)

(2日前から酵母仕込んで、前日は生地仕込んで。レシピはただの紙ちゃうねん。そりゃボランティアが過ぎますよ…)

この町に移住して最初に感じたのは、働き口が少ないということでした。

わたしのような新参者や、離職期間が長い人には、自営業を立ち上げるのが現実的な解決策になることがわかりました。

行き当たりばったりで起業5年目になりますが、すこしでもパン屋の起業でヒントになることがあればと、休止していたパン教室を再開することにしました。

「脱サラです。2児の父です。将来はコーヒーとベーグルの店を出したくて」

「あと数年で介護施設を定年です。定年後はフラワーアレンジメントとパンを組み合わせてなにかできないかと…」

「働きすぎで、残業時間が過労死ラインを余裕でこえてました。入院もして、会社はやめました。今は趣味に没頭したい」

「3人子供がいて、保育士として働いてます。寝ても覚めてもパンのこと考えていて、保育士をやめてパン教室をやりたいんです」

みんなの思いを受け取ったので、続けられなくなって残念です。やり方を変えたり、場所を探したりしてみます。

本を出したくなってきました!

タイトルは「いわなみ家のコツ」

出版関係の方、よろしくおねがいします

 

 

「浮気買いのその後」

いわなみ家の話

第125話

「浮気買いのその後」

以前足しげく通ってくれていたお客さんがこの頃お見えにならないなぁ、と思っていたらメールが来ました。

 

先週久々に、いわなみさんのパンを頂き、やっぱりこれだよ〜(*´༥`*)♡と思いました。

いわなみさんに来れない間、美味しいと言われる、あちこちの天然酵母、ハード系のパン屋さんを県内外問わず浮気しまくりましたが、私の中でヒットするものに巡り会えませんでした、、、w
そんな中での、久々のいわなみさんのパンは、感動と言うには軽々しく感じるほどに、最高でした☆
長々と、熱い想いをすみませんw
また、お世話になりますm(_ _)m
なぁんだ、浮気していたんですね(笑)

こんなメールをいただくと、また小躍りして生地を仕込んでしまいます。

 

母に「嬉しいメールがきたぁ、読んでみて~」とLINEしたら

「そう、浮気買い、これが必要なのよ。これをしたあとの本命は動かぬ証拠になるから!」と断言していました。

そうなのか…!

 

先日インタビューを受け、「どんな思いでパン屋をやっていますか」と聞かれました。
「お客様の笑顔が見たくて!」「ひとりでも多くのお客様にパンを届けたくて!」
の答えも間違いではありませんが、これはかなりのぶりっ子回答です。
正直にこう答えました。
「自分のやりたいこと(提供したいパン)は通したまま、ファンをつける。一度つかんだ胃袋はぜぇったい離さない。リピーターを逃さないぞ」の思いで(かなり執念を込めて、笑)パンを焼いています。
浮気買い、推奨します。
戻ってきてもらえるよう、定番を焼いて待っていますね!