「ひとりでパン屋になりたいあなたへ」その2

いわなみ家の話

第99話

「ひとりでパン屋になりたいあなたへ」その2

小学校の行事が延期になったので、今日はお弁当デー。

早起きして娘たちのお弁当を作りました。

ミニとんかつ、卵焼き、カップグラタン、の3種は下記の工程の通り。

前日の夜から軽く塩こうじに漬けた豚ヒレ肉に、小麦粉と溶き卵、そして自家製生パン粉をふんわりまとわせて、カラッと揚げたら、子供たちの大好物の完成!卵焼きはカツオと昆布の一番だし香る、甘めの味付け。小鍋でホワイトソースを作って蒸し野菜のカップに流し込み、チーズをのっけてオーブントースターで焦げ目をつける。

…ハイ!全部、ほぼ、噓です。

ミニとんかつ(マルハニチロ)は600ワットで60秒、カップグラタン(同社)は50秒で完成です。かろうじて卵焼きは作りました(顆粒だしパラパラっと)。

いわなみ家ホームページのアクセス数は、最も多い順に、「トップページ」「問い合わせメールフォーム」「いわなみ家とは」で、続いて、1年半前に投稿したブログ「ひとりでパン屋になりたいあなたへ」https://iwanamike.com/archives/15086

が7000も超えるアクセス数です。

最近になってこのアクセス数を知り、「正直に包み隠さず話すことで、ひとりで迷っている人の助けになれたら!」との思いを新たにしました。

「ひとりでパン屋になりたいあなたへ」その2

ひとりでやろう。と思っている時点で、あなたは相当な量の仕事処理能力がある人ですね。

午前中、パン生地を仕込みながら夕飯の米を研ぎ、遠くで洗濯機がピーピーッと鳴っているのを聞き流して小麦粉を計量していると、今度は玄関からピンポーンと鳴って、戻って来たら、さっき計っていたスケールの目盛りが消えとるやんけ!やっと一息つくころにはいつも11時半すぎで、太陽は高く上がっているのに、まだ洗濯機には重くて濡れてる洗濯物が丸くなっているありさま。あー、今日燃えるゴミの日だった…。

私もなかなかのマルチタスク人間だと自負してきましたが、上のような毎日を続けていたら、小さな綻びがちょこちょこ出てくるようになりました。

塩を入れ忘れる、発酵の見極めを逃す、昼寝を逃す、肌に吹き出物ができる、洗濯物がカラッと乾かない、すぐイライラする、など。

ひとりパン屋を開業して4年。やっと気づいたことがあります。

やろうと思えば何でもできてしまうワタシ。たとえ自分でできることでも外部委託する。できることをあえて手放しましょう。すると、パンが上達します!

外部とはいろいろです。

「夫委託」「食洗機委託」「冷凍食品委託」

先日、夫婦会議をして「今後はぜんぶ夕飯おれが作る」の金言をいただきました。

初日はオムシチュー、サラダ、スープ。2日目はチャーハン、餃子、卵スープと好調な滑り出しでしたが、5日目ともなるとご飯と豚汁のみ(夜中、腹が減って眠れないパターン)。それでもです!人に作ってもらった料理のありがたいことおいしいこと。

委託にはお金がかかることもしばしば。確定申告(e-TAX)やっぱりわけわからなくなってきたので、今年も商工会議所に委託します。パンの上達のためよ~

 

 

 

 

 

 

「初笑い、いかがですか?」

いわなみ家の話

第98話

「初笑い、いかがですか?」

2023年明けましておめでとうございます。

もし火事が起きたら真っ先に持ち出すもののひとつが、手書きレシピファイル(原本)。

レシピには、右肩に日付を小さく書いているのですが、ファイル1ページ目には2013とありました。

月日の経つのは早いもので、今年もあと360日…なんつって!

火事が起きたら真っ先に持ち出すもの、わがパン屋のチビスタッフ。

そのスタッフ2名による年末年始ほくそ笑みエソピード(!)をご紹介します。

  1. 読書好きの2人。「ママー、この本読んでみー。まず、エソピードだけでもさ!」
  2. 読書好きの2人。「本の最後の方によくある、エロピーグって何のこと?」

エソピードも、エロピーグも、至って真面目です!

本好きの2人に感化されて、年末年始は私も読書に没頭しました。

福島県三春町出身の登山家・田部井淳子さんをモデルにした長編小説「淳子のてっぺん(唯川恵著)」。

あまりに感動したので、読後興奮冷めやらぬうちにスタッフたちにもあらすじを聞かせてやりました。

ス「それでそれで、淳子さんはさ、ヒラヤマは成功したの?」

母「平山?ヒラ山?」

(備考)1970年5月、淳子さんはヒマラヤ山脈のアンナプルナⅢ峰(標高7555メートル)の女性初登頂に成功しています

 

そんなスタッフ、最近ワインにハマっている店主の、酒の肴のお世話までしてくれるようになりました。

ス「ママ、カマンベールにする?プロレスチーズにする?」

母「今日は思い切ってプロレスにしてみようかな!」

 

 

 

 

 

 

「あのころの感染」

いわなみ家の話

第97話

「あのころの感染 」

小学校の卒業式を控えた去年の2月、まず最初にHくんの伯父さんが感染した。働いている介護施設でクラスターが発生したと聞いた。

娘たちの登校班の班長だったHくんはそれ以降、学校を長期間欠席し、ついには卒業式に出席することも叶わなかった。

続いて、同居するおじいちゃんも感染し、入院先で亡くなってしまった。

このあたりの部落では、通夜の前に、「顔見せ」というしきたりがある。近所の者たちが集まって故人宅を訪ねる。

コロナ禍で、Hくんのおじいちゃん宅への「顔見せ」はもちろん無かった。

早くにお父さんを亡くしている、Hくんの寂しさは想像を絶する。

あのころ私は、Hくん家で起きていることを「触れてはいけない話題」のように扱っていた。近所の人らの雰囲気もそうだった。心からお詫びしたい。

あの人んちも、この人んちも、アタシんちもコロナを経験している昨今。

「やだー、うちもなったよー。てっとりばやく家族全員かかっちゃいたかったけど、下の子だけ4日後でさぁ、長引いたわー」

「まじでー?うちは先月。(抗体できて)この先3ヶ月コロナかからないってホントかねぇ」

昨日スーパーで買い物中に聞きもれたママ同士の会話は、フツーの音量(大きすぎるくらい!)。

感染したことをひた隠しにしなければならなかったであろうあの頃とは、全く違う温度差。

中学生になって制服も板についてきたHくん、部活に忙しいらしく、日焼けしてすっかりイケメンになった。

通学路の田んぼのわきでHくんを見かけるたびに、近所のおばちゃん(アタシ)、春からずっと話しかけてきました。

「部活?」「テスト期間中?」「おかえり~」。

やっと声が聞けたのは最近のこと。

「今日は部活ないんで、早帰りで…」

返事うれしかった!

春になったら、またパン屋に来てね。君は迷わず「黒ごまチーズベーグル」一択だったよね

 

 

 

 

「隔離?だめだこりゃ」

いわなみ家の話

第96話

「隔離?だめだこりゃ」

39度の熱を出して、医療機関の抗原検査で「陽性」の判定をもらった我が家の妖精、いや、陽性第1号の娘。

弱っている子供を一人残して隔離するなんて、と胸が張り裂ける思いで別々の部屋で就寝することにした。

その翌朝、

「ママー。おでこさわってー!熱、なーい!」

と元気に私の布団にもぐりこんできた。

だめだこりゃ…。

2日後、順当に発熱した妹も、深夜2時に私の枕元にヌボーッと現れて、

「ママといっしょに寝るー」。

そうなるわな~。

初日こそ妖精ちゃんの使った寝具やソファーを除菌スプレーしたり、トイレの後にくっついて回って掃除していたが、「コレ、意味あるんかな」と思えてきた。

近所に住む感染経験者ファミリーは二世帯で、

幼稚園児の次男が感染したと当時に、「長男と祖父母」「次男と父母」のチームに分かれ、家庭内でLINEの連絡を取り合って食事や入浴時の順番を決め、見事「長男と祖父母」チームは感染を免れたらしい。相当徹底したのだろう。

核家族の家庭内隔離はヒジョーに厳しい。

親が目を離した隙に姉妹はくっつきあって遊んでいる。オーノー!

また、風呂は、症状のない者から順に入っていたが、脱衣所で母が素っ裸になっている時に限って姉妹が乱入してきて、「お風呂ひとりはヤダー」「お姉ちゃんだけずるい」「そっちだって」とケンカが始まる始末。

「あーもう!ゴチャゴチャ言うならみんなで入ろう」。

可愛さと、面倒くささと、人手の無さがあいまって、隔離政策は頓挫してしまった。

ほかの経験者はこうも言っていた。

「隔離なんて端から難しいと思って、(症状が軽いなら)家族ができるだけ心地よく過ごすかです」。まったく同感だ

 

 

「1枚のホットカーペット」

いわなみ家の話

第95話

「1枚のホットカーペット」

 

コロナ家庭内療養3日目。

1枚のホットカーペットに集まる家族団らんの図。

「1ペア」「ストレート!」

解熱し、暇をもて余した子どもたちとパパが、マスクをして向かい合い、ポーカーをしている。(「隔離生活あきらめました」執筆中 )

コロナは、かすがい。

夫婦の会話なんてロクになかった我々夫婦も、この状況では互いに助け合わなければならなかった。

病院の予約や受診、学校への届け出、スーパーへ買い出し…。それぞれ抱え込んだ仕事をキャンセルしながら、今は目の前の緊急事態に対応していく。

見事なバトン方式で子ども達が発熱していく中、

元気なほうが元気なうちに、手が空いたほうが動き、(会話も増え)、理想的な夫婦の形に近づいていた。

 

「2ペア」「フルハウス!」

明るい親子3人の声が布団のなかに入ってくる。

こんな団らん、いつぶりだろう…。

私はというと、午後から微熱が出て、ホットカーペットの隅っこで寝込んでいた。

 

「ポーカー、もいっかい!」

「そろそろ7時だ。ご飯にしよっか」

「そだね。ママ~ご飯にしよ!」

 

「はぁ?ご飯つくってないけど?ママ寝てるの見えなかった?」

 

ポーカーのメンバーに激震が走る。

長女はそそくさと箸を並べ、パパは無言で塩鮭を焼きに台所へ向かう。

いわなみ家他メンバーに告ぐ。

ママはサイボーグでもご飯係でもない!

(母は半日で平熱に…。ちぇっ。しばらく熱あるってことにしとこう)