「秘密の白菜」

いわなみ家の話

第146話

「秘密の白菜」

日に日に、冷蔵庫の白菜が増えていきます。

近所のおばあちゃんが、「白菜あっかよ?(あるかい?)」と言って、持ってきてくれます。

それも、1日に2度3度。ほぼ毎日。

「今日はもらったよぉ、ありがとね」

「そうかい?まーた、忘れっちまってなぁ。だぁめだなぁ。あーっはっは!」

ばあちゃん、明るく認知症が進んでいるようなんです。

「これ何にして食うんかよぉ?」

「そうだねー、今夜は寒いから鍋にしようかなー」のわたしの返答は無視して「おひたしが旨んめぇぞー」と一方的に話して帰っていきます。とほほ。

ばあちゃんの「おひたし」推しは毎度のことで、もはや定番ネタとなっています。

このまま症状が進んで冷蔵庫が白菜だらけになったらどうしよう?

わが会津美里町は、「福島県一認知症にやさしい町」を目指しており、小5の授業で認知症サポーター養成講座が行われたそうです。

「認知症サポーター」に認定された娘から教わったことを以下に紹介します(「認知症世界の歩き方 実践編」筧裕介、issue+design著 より引用)

①Yes, and! まず受け入れる

認知症のある方の発言が「理解できない」「納得できない」ときでも、まず「いいねー」「そうだね」と肯定する。肯定後に気になるところを述べると、相手も受け入れやすくなる。No, but(違う、なぜなら・・)と否定しない

②役者のようにふるまう

認知症の方が生きる世界でのストーリーに従い、振る舞い、声をかける。「お腹が空いたねえ(ご飯を食べた後だったとしても)」「お金はどこに行ってしまったのかなあ?一緒にさがしてみよう(本人が使ったとしても)」。現実世界では間違っていることだとしても、本人の生きる世界では「確かな事実」

③急がない、ゆっくりと

認知症のある方は、会話の理解に時間がかかるため、相手の話が2倍速の映像のように感じることが多い。話すときは、速度を落とし、簡単な単語で(カタカナやアルファベットを避ける)、少ない単語数で。

明日から実践してみようと思う会話

「白菜あっかよ?」

「白菜、いいねぇ。ありがとう(本日2回目だとしても)」

「これ何にして食うんかよぉ?」

「そうだねぇ、おひたしにしようかなぁ(鍋の予定だとしても)」

そうそう、ばあちゃん、白菜のことを秘密にしたがるんです。

「他のもんには言うなよぉ、おめぇんとこだけだからぁ」

ばあちゃんに白菜もらってること、このブログで全世界(笑)に告白しちゃってるけど、内緒にしておくよー。ばあちゃんと私の秘密だねー。

 

 

「味方は時間」

いわなみ家の話

第145話

「味方は時間」

ここ3日、パン教室のレジュメを作るために、PCと向き合っていました。

その中から1つご紹介。

自家製天然酵母(ルヴァン種)を使うメリット

いわなみ家のパンはすべてにルヴァン種を使っています。簡単に言うと、「小麦粉+果物の酵母エキス(液)+ヨーグルト(乳酸菌)」を発酵させた、緩めのパン生地(塩なし)です。

パンの製法のひとつに、パートフェルメンテ(パート=生地、フェルメンテ=発酵済みの)法があります。一種の前種法です。日本語で発酵生地とも言います。シンプルなバゲット(フランスパン)生地の一部を取り置き、次回の生地仕込みのときに混ぜ込んでこねます。発酵生地ありのバゲットと発酵生地無しのバゲットでは、風味や深みが全く違います。

ルヴァン種も、このパートフェルメンテ(発酵生地)法に似ています。前日に発酵させておいたルヴァン種を翌日以降に使うことにより、かみしめるほどに味わい深いパンになります。また、ルヴァン種は、イーストに比べると発酵力が3割くらいしかありません(イメージ)。イーストなら2時間で一次発酵が完了するところ、ルヴァン種だと6時間はかかります。

パン生地がいい風味になるために必要なのは「時間」だと考えています。小麦粉は手のひらに乗せても砂粒よりも小さいのですが、その芯まで水を吸わせることにより、初めて粉の味がわかります。短時間で発酵が終わってしまえば、粉の芯まで水が行きわたっていません(お米の炊飯と同じ)。弱い発酵力だからこそ時間がかかり、それが利点になります。

発酵に時間がかかること(一次発酵で6時間以上~)と、発酵力が弱いことは、子育て真っ盛り10年前の私には大いにメリットがありました。赤ん坊が寝静まったころに成型できるように生地を準備しておいたり、一次発酵中に生地も私も子供も昼寝したり。発酵がゆっくりなので、絶対6時間後!とはなりません。多少ずれても問題ありません。

パン屋をはじめてからは、一次発酵中の午後はきっちり昼寝を確保しています。パン屋の睡眠時間を確保するという点で、ルヴァン種を使ったパン作りは有益です。

 

【ご案内】開業をめざす人のパン教室

【ご案内】開業をめざす人のパン教室

福島・会津美里町でパン屋「いわなみ家」をしています、岩波聡子です。

この度、パン教室やパン屋などの開業をめざす人向けのパン教室を開催します。

パン教室の詳細の前に、私のパン歴をお伝えします。

  • 2001年ごろ 会社員の傍ら、趣味でパンを焼きはじめる
  • 2010年 製パン学校ルコルドンブルー入学(バゲット、クロワッサン、パンドカンパーニュ、ブリオッシュ、全粒粉パン、ライ麦パンなど。製パン理論も同時に学ぶ)
  • 2011年 都内のブーランジェリー・ドミニクサブロンに1年間修業、近所のパン屋にもアルバイト
  • 2013年 自宅パン教室を開始~2018年まで。2024年一部再開(現在休止)
  • 2020年 自家製酵母パン「いわなみ家」開業~現在。

特別な資格は持っていません!

しかし、一日100~130個パンを焼いているパン屋生活の中で、気づきがありました。

「数をこなさなければ上達はない」

「ここ数年、私、上達しているな…」

そこで、売り物としてのパンを目指す人(パンでお金をもらう仕事)向けに、パン教室を思い立ちました。

通常のパン教室では、一回のレッスンで小麦粉量にして250g程度の生地を使い、【ベーグルなら4つ、カンパーニュなら1玉、山食なら1斤、いずれか】を焼いて終わりです(これも楽しいけどね~)

「この生徒さん、ベーグルあと10個成型すればうまくなるはずなのに・・」

「山食1斤じゃ、発酵のタイミング、わからないよなぁ・・」

とセンセイは思ったことが何度もあります。

実際、製パン学校に通っていた時は、【1日にバゲット4本、カンパーニュ2玉、デニッシュ系パン16個、ぜんぶ】を週2回、一年じゅう冷凍庫が常にパンで埋め尽くされていました。数をこなすことで体に製パンの感覚をたたき込みました。

パン屋に修行していたころは、製パン学校の比ではない量を焼いていましたねぇ~

そこで!

パン教室やパン屋などの開業をめざす人向けのパン教室

  • 全10回コース(秋コース10月と11月の木曜か金曜。春コースは4月〜。10回終了するまで季節は問いません)。
  • 焼成は、1レッスン小麦粉750g〜1000g(通常パン教室の3倍量の生地。例・ベーグル12個)
  • 1日2名(10時から14時を予定)
  • 1回18000円
  • 場所はいわなみ家、オーブンはパン屋と同じ業務用を使用
  • 座学では開業に必要なこと(創業計画書のウマい書き方、業務用オーブン選び、工房内の手作り備品、お店PRの仕方、失敗談、価格設定、レシピの作り方など)
  • 生地は以下5種【くるみパン、ベーグル、山食、カンパーニュ、エピバトン】この5種を11~15種類のアレンジパンにする方法
  • アレンジ詳細【くるみパン→ノアレザン、ナッツとチーズのハードパン、レーズンとクリームチーズの丸パン、いちじくバトン】【ベーグル各種】【山食→山食、あんぱん包餡系】【カンパーニュ→カンパーニュ】【エピ、バトン、フガス】
  • レシピをすでに持っている方は、1レシピ1000円値引き
  • 基本的に10回で完了(5種の生地×2回ずつ)ですが、「山食はこだま酵母に自信があるので、いわなみ家山食は不要です」「ベーグルは微量イーストでやりたい」という方や、すでに開業しているが「くるみパンアレンジだけ学び直したい」など、ご相談に応じます。

た、高い。と思われるかどうかは判断おまかせします。

レッスン代には【レシピの商用利用】代も含みます。レッスン10回、けっこうハードです。

私の目で生徒さんのパンをみて、「これならお客さまからお金をいただけるパン」と思うまでご指導します。

現在、福島市、伊達市、米沢市、大阪府にそれぞれ1名、わたしの信頼する元生徒さんがパン屋やパン教室を運営しています。何度も生地250グラムの通常レッスンに来てもらって、とうとう教えることがなくなったころ、いわなみ家レシピを商用に使って、開業のお手伝いをしました。

現在はわたしがパン屋の仕事が楽しくて、通常レッスンができません(場所もなくて)。ならば、集中スパルタマンツーマンレッスンをして、パン屋になりたい!の夢に伴走します。

開業が何年先になるか分からなくても構いません。結婚、出産、子育て、親の介護、いろんなタイミングが人それぞれにあると思います。開業後は【いわなみ家】を名乗っても名乗らなくてもいいです。好きなように使ってください(笑)

開業後、いわなみ家レシピ以外の、オリジナルのレシピがどんどんできていくことが私の喜びです。

申し込みの前に、どんなご質問でもお受けします。

✉️eggsatoko@gmail.com

いわなみ家店主 岩波聡子

 

 

 

 

 

 

 

 

「中1、呼び出し食らう」

いわなみ家の話

第144話

「中1、呼び出し食らう」

ピッカピカの(中学)1年生は、まもなく一学期を終えようとしています。とにかく部活(バレー部)が楽しくて登校している様子。

 

先日、顧問の先生に呼び出しを食らった娘。

「ヨーコ、ちょっと、こっちへ」

本人、相当ビビったそうです。

「あのな…チョコとオレンジピールのパン、うまかったぞ」

せんせー、完全に面白がってますな〜。

「は、はぁ〜」

本人がズッコケてる間にすかさず質問が飛んできたという。

「ベーグルとほかのパンの特徴は?」

「ベーグルはぁ、焼く前に茹でてぇ、穴が空いてるパンですー」

満点回答、よくできました、パン屋の娘。

最近では体育館内の熱中症警戒で、土日の部活は午前7:30〜10:30だそうです。早!

偶然にもパン屋のオープン時間に部活が終わったと思ったら、開店後しばらくしてジャージ姿の顧問の先生がご来店(笑)

「今日はパン屋行かなくちゃだから、ちょっと早めに部活終わらせましたよー」

マジか~(冗談だろう、きっと)

先日、ほかの部員も呼び出しを食らったそうだ。

「Eちゃん、先生に呼ばれて、新人戦出してあげるって言われたんだって!いーなー新人戦出たい。呼び出されたい!」

そして昨日、「ヨーコ、ちょっと」のお声が。

来たぞ来たぞー、ついに!心浮き立つ長女。

「サーブ入らないと新人戦出せないからがんばれ」

オチまで作って呼び出し話を披露する長女。

うん、がんばれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「生乾きのち、晴れ」

いわなみ家の話

第143話

「生乾きのち、晴れ」

中1の娘は毎日、自分で洗濯機を回す。そして、たっぷり柔軟剤を投入する。

「そーんなに入れたら、水、吸わなくなるって!」

「いい匂いじゃーん」

【自転車通学の女子生徒は運動着(ジャージ)着用のこと】の規則があるので、帰宅すると汗まみれのジャージ上下を洗濯機へ放り込む。

入学式以来、ほんの数回しか見ていない、彼女の制服姿。チェックのスカートにブレザー、首元には愛らしいリボンまでついて三万円超。あれ、いつ着てるの?!

洗濯機を「少量」モードにして、回し、干す。エライぞ、娘。

一晩あれば、ポリエステル素材だもの、ヨユーで乾く。

青ジャージがハンガーに吊るされると、部屋の中が少々キツい柔軟剤の匂いで満たされる。香水、コロン、芳香剤。そういうものが苦手なワタシだが、自立の芽を摘むかもしれないので、口出しはしないでおこう。

ある晩は、「ぢかれたーー、宿題まだあるーー」

とお疲れのようだったので

「洗濯機終わったらママが干しといてあげるから、宿題片付けちゃいなよ」

たまには格好よく、ママ風を吹かしてみた。

その、翌朝…

「わたしの運動着どこ干した?」

寝起きの娘に指摘されるまで、青ジャージは洗濯機の底で熟成されていたわけで…夜中パンを焼いていてすっかり忘れていた。

ドライヤー・アイロン・布団乾燥機。何種もの神器を駆使するも、朝の30分足らずでは乾くはずもなく。ほんっとごめんなさい!ママがやるって言ったのに!謝るしかなかった。

「ちょっと生乾きだけどー、いけるっしょ!だいじょぶ。ありがとね」

と言い残して登校していった。

なんてカラッとしてるんだ、長女よ。

多めの柔軟剤がナイスアシスト。「レノア超消臭・おひさまの香り」「部屋干しでも天日干し(級の)さわやかさ」「お母さん干し忘れても大丈夫」なんて商品は出ないものか(笑)

梅雨入り目前。本日晴天なり。熟成洗濯物なし!

ちなみに当店のパンは長時間熟成です←得意分野