「笑顔の妄想」

いわなみ家の話

第62話

「笑顔の妄想」

あーー。また見出しになっちゃいました。

パン屋になって以来、ありがたいことに新聞や雑誌社から取材を受けることが何度かあります。

その度に、いわなみ家と私自身を知ってくれる人が増えて嬉しい限り。どの記者さんも丁寧に取材してくれます。

ですがね、わたしこれまで1度もインタビュアーに「笑顔にしたい」と言ったことはないんです。よく記事になるのですが。

パンと笑顔の一人歩き状態…。

今これを読んでくれているみなさんから

「なに言ってるの。いつも美味しいパンありがとう!笑顔になってるよ~」

って声、届きそう。うんうん、それはしっかり受け止めた!サンキュ。

でも、パンで笑顔にしたいだなんて、そんな大それたこと、わたしはよう言いまへん。

ただ、「これ、おいしいですから」と自ら太鼓判押せる商品を買ってもらって、みなさんのお腹を満たしたい。

パンを前にして、

笑顔になるか、ワッと我慢してた涙が出るか、丁寧にコーヒー淹れてみる気持ちになるか、今夜はパスタにしようと準備するか。はたまた、子供に隠れて夜中に食べるか、ラップして冷凍庫にしまっておくか。

それはみなさん次第。

パンを買ってくれた、その先の妄想をするのが店主の楽しみ。

…こう話せばよかったかな。元新聞記者を取材するって、面倒くさいですよね。ごめんねー、これまで取材してくれた数々の記者さん。

言葉を発するのも書いて伝えるのも、面白くて難しいネ~

 

 

「LIVEの醍醐味」

いわなみ家の話

第61話

「LIVEの醍醐味」

あの感動から半年しか経ってないのにまたオリンピックがやってきました。さてなぜでしょう?

「ほんとは、夏と冬2年こうたいだけど、東京オリンピックがコロナだったから、この前したけどまたやるの」

「次はパリという国!」

はい、小学生たち、(ほぼ)正解。

時差1時間の北京オリンピックは小学校低学年には、不運にもLIVE視聴が難しいものです。

学校から帰ってきたら結果が分かっていたり、ちょうど寝る頃イイカンジの競技が決勝だったり。

見逃し配信アプリで見せてあげるも、「これじゃあ、ハラハラできないよー」。

LIVEじゃなきゃ、ねー!

先週日曜日のラジオ「オードリーのオールナイトニッポン」は、オードリーの2人がコロナ療養明けて3週間ぶりの放送。

日頃、奥様と2人暮らしの生活くらいしか話をしないオードリーの若林さんが隔離生活についてトーク。

「自宅に奥さんと子供がいるのよ、火曜日から。だから、奥さんにうつしちゃうと、誰が子供の面倒みるんだってはなし。0歳の子」

リスナーと、相方の春日さんは、ポカン。「奥さんと子供がいる?なんの話だ?!」。

退院した妻子を我が家に迎えた翌日から、2週間の隔離生活に入ったことを、若林さんは、周囲を煙にまきながら愉快に話します。おむつ交換もお風呂もミルク作るのも楽しみにしていたパパ、名前の届けもできなかったなんて。(聞いてるコッチは面白い)

これぞLIVEの醍醐味!午前2時にパン焼きの作業の手を止めてしまうほどの見事な話術。

まだ聞いていないリスナー友だちに伝えたいのも、ぐっとこらえて黙っていたのに、「サトコー、知ってしまったよー、見てよこのサムネイル!」。

彼女が聞こうと思っていた、編集版のYouTubeには「オードリー若林第一子誕生!の話」って…。センスないよー!

さて、男子フィギュアスケートLIVEが終わりました。この結果を黙ったまま、子供らが帰宅するのを待ち受けましょうか。

あ!オードリーのオールナイトニッポンを聞いてみたいかたは、このブログを読んではいけません。遅いか。

 

 

 

 

「両想いの糸」

いわなみ家の話

第60話

「両想いの糸」

 

先輩創業者の話。

レジュメは以下の通りです。

  1. 事業内容
  2. 創業のきっかけ
  3. 創業初期に苦労したこと
  4. 転換期、きっかけの出来事など
  5. 失敗例
  6. これから創業する人への励ましの言葉

今日、先輩が上記の内容について、商工会議所で話したそうです。あ、アタシのことです(笑)2年で先輩って…恐縮です。

1~5まではこのブログで綴ってきたこと。

では6。これから創業する人へ。

1人でも多くのお客様をゲットしようとするのではなく、1回来店してくれたあの人を離さない努力が大切

創業初期には、インターネット広告や情報サイトが「新規店舗」としてパン屋を紹介してくれたことが何回かありました。

ライターさんは丁寧な取材をしてくれましたが、「掲載は半年間は無料ですが、以降はお金がかかります」とのこと。

「そーゆーことだったんですがー、じゃ、半年だけで結構です~」

以降、宣伝らしい宣伝はせず、情報発信は自分のSNSやホームページ、新聞記事、町の広報誌くらいです。

件の情報サイトによくあるのが、「○○で見た!で15%off」「割引クーポンあり」というもの。

これだと、一時的にはたくさんのお客さんが来ます。「安くなるから」という理由のお客さんが。割引期間が過ぎたら、足が遠のきます。

なんとなく来てみた。

友達がいいって話してた。

今度行ってみたい。

上記のような、初めて来店した(しようとしている)お客さんをリピーターにすることの方が数倍大切だし、儲けも上がります。具体的には、

  • 完売後に来てくれた人には、明日の朝家族で食べようと思っていたパンの端っこでもいいから、あげる。端っこおいしいし。
  • メールの問い合わせには、ちょっと個人的な話を付け加える。
  • お近くですか?えー!そんな遠くからはるばるー!
  • レジで(パンの購入傾向を読んで)、さてはハード系のパンがお好きですね?!今夜は飲みますか?とか。

とまあ、わたしはほとんど全てのお客さんに、えこひいきをしています。

お客さんと両想いになれたら、それはリピーターを獲得したということ。その両想いの糸を離さないことが大事です!

と、力説すること30分。

 

ところで、今日商工会議所に集まったのは、これから創業しようとしている会津美里町内の男女8人のみなさん。

見たところ、20代から60代まで幅広い年代の方が新しい1歩を踏み出そうと、目を見開いて前のめりで聞いてくださいました。

私が話している間じゅう、スマホの画面を叩いている1人を除けば…。

熱心に聞いてくれた参加者から質問も受けました。

「先ほどの両想いの話ですが、どうやってもこのお客さんとはダメだ…てことはないんですか?そういう時はどうしますか」

「もちろん、あります。そういうときは、ドライに諦めて、距離を離していきます。こちらから遠ざかります」

スマホを叩く彼は顔あげませんでしたねぇ。中には、合わない人もいます。仕方のないことです。恋愛も商売も講義も同じなんだね~と妙に納得してしまいました

 

 

「○○鬼」

いわなみ家の話

第60話

「○○鬼」

 

パンではなくどちらかと言うとマメの話です。

2月3日、今日は節分。

今の小学校では、自分の治したい癖や性格の一部を抜き出して、「ぼくはわたしは○○鬼を退治したいです」と宣言するそうな。

ええー?なんじゃそれ。

わざわざネガティブな面を探しだしてみんなの前で言う必要ある?

昨日は小3長女が、給食の全校生徒向け放送で、「わたしの鬼はくじけ鬼です」ってアナウンスしたらしいです。

えー、ようちゃん、別にくじけないじゃん?何でも最後までやるじゃないの、お母さん見てるよ。

「でもさ、生活の授業のときに、みんなで考えましょーってあったんだけどさ…、ようちゃん、なんも思いつかんかったけどさ…、ナントカちゃんと同じにした」。

がっくり。

○○鬼に当てはまる○○を書かなきゃ授業終われないシステムにがっくり。

そんな圧の中で、ナントカちゃんと同じでいーや、の考えになっちゃってることも。

敵は自分の中にあり!てか。

これって、いわゆる同調圧力では?

長所や得意なことを発表するならまだしも、「だらだら鬼」「泣き虫鬼」「片付けない鬼」って自分を卑下せんでもよかろーに…。

いつから豆まきがネガティブキャンペーンになった?!

季節を分ける、と節分を理解してきましたが、当地会津の天気予報は、向こう1週間雪だるまマーク。春まだ遠いです。

ちなみに、パン屋店主の場合は、「深夜3時のパン焼きの合間に、柿ピーとチョコレートとコーヒーをエンドレスにしてしまう鬼」。

どーにかしなきゃ。

 

「ここにデジタルディバイド」

いわなみ家の話

第59話

「ここにデジタルディバイド」

金曜日、「今週もやっとおわったーー」と花金モードの小学生姉妹が帰宅後ランドセルから誇らしげに出してみせたのは、タブレットPC。

「わいふぁいがつながるかのテストだって」

福島県内も連日、コロナウィルス感染者の最高数が記録されていて、当地会津美里町にも波及するのは時間の問題といったところ。オンライン授業に備えて、事前の調査らしいです。

ろぐいん、わいふぁい、きゅーあーるこーど。ワォ~、色々知ってんのねー。

ウチの子らは、テレビもスマホもほとんど見ません。流行のものは、学校で仕入れてくるくらい。

つい最近まで、YOASOBIをYOFUKASHI(夜更かし)と言い間違って、ヒットソング「夜を駆ける」を口ずさんでいた我が子はどこへ…。置いてかれそうな母。

 

正月に帰省したとき、母が作る料理がおいしくて毎晩お酒がすすみました。

「レシピおしえて!」

と言ったら

「あー、それは三國シェフのYouTube、それでこっちは奥薗(壽子)さんのYouTubeのやつ」

へ?!

母のレシピ帳は、醤油やみりんのシミがついた、あの年季の入ったノートじゃないのー?

70代の両親は、りんごマークのスマホとタブレットで、夫婦それぞれ、ひとりと2人の時間を尊重して快適に暮らしていました。あの2人にはデジタルディバイド関係ないみたい。

 

デジタルディバイドとは、インターネットやスマホに接触していないために起こる情報格差のこと。

この歳でディバイド生まれてたらヤバ…と心を新たに、電子決済のPayPayを始めました(今ごろ…笑)。

お届けパンなどで、これまでお客さまに振込み手数料を負担してもらっていましたが、ご希望の方はPayPayでどうぞ。

「おとーさん、PayPayQRコード送ったけど、届いてる?試しに10円送って~」

「今度はこっちから送金してみるわー」

「そっちの画面じゃどう見えてるのー?」

矢継ぎ早に73歳デジタル先生に質問する娘43歳。逆転してます