「イーストは負けか?」

いわなみ家の話

第85話

「イーストは負けか?」

自家製天然酵母の沼にはまってしまったパン作り好きな人なら、お分かりいただけるでしょうか。

「イーストVS自家製天然酵母」

イースト菌(学名サッカロミセスセルビジエ。これを一気に言えるとパンに詳しいんです~と胸を張れるが、今回もググってしまった。言えましたか?)は、パン酵母の一種で、自家製天然酵母に比べると膨らむパワーが10対3くらい(私の感覚による)。

強いならイーストを使えばいい、という話ではないのよこれが。

自家製天然酵母マスターのプライドにかけて、イーストには頼りたくないという変な意地。その意地がかれこれ10年も私の中に根を張っていた。

「自家製天然酵母のパン教室」

「自家製天然酵母パン屋」

ここで、イーストを使えばドーピング?

 

話は変わって、先日、友人にオーガニックのコーヒー豆をもらった。

豆をひきながらいつもこう思う。

「この豆は私にもらわれて幸せだろうか」

オーガニックで育てられ、フェアトレードで日本にやってきて、特別な方法で焙煎され、最後の最後、ドリップするときにお湯ジャーーーでは浮かばれない。

ちゃんとおいしく淹れてあげなくちゃ。

 

山食が膨らまなくなって2か月。

小麦価格高騰のこのご時世にどれだけの小麦粉を無駄にしたのか。

山食の着地点「外側の皮は薄くつややかで香ばしく、中はしっとり絹のよう」にしてあげられなかった。

方法や作り手が違えば、おいしいパンになったはずの小麦粉。

 

打つ手がなくなって、全く違うレシピで山食を焼いてみた。

いつもの天然酵母をイーストに置き換えて(これじゃ、いわなみ家山食じゃないんだけどね)。

焼きあがった山食は、生地の量を間違えたかと思うくらいにマッシュルームのように膨らみ、食感はミスドのフレンチクルーラー、そう、まるで空気!

ここまで軽いと着地点とかけ離れるけど、小麦粉は明らかに今までより幸せそうだ。

実は着地点が上がって(変わって)きたように思う。

それなら、今までと同じやり方で焼いても到達するわけがない。

最初に考えるべきは「どんなパンを焼き上げたいか」なのに、方法や手段(自家製天然酵母オンリー)にこだわりすぎていた。

イーストと和解だ。仲良く、いいとこどりしよう。

ステファン・レナ シェフ曰く「自家製天然酵母種は、日本のみりんや酒、いわゆる調味料のようなもの」。

軽いのが取り柄のイーストと、味に深みを持たせる自家製天然酵母種のハイブリッド。これが私の出した newいわなみ家山食の答えです。

 

次回のいわなみ家の話で、レシピを公開します。

パン教室は止めましたが、まだみんなの先生でいさせてくださいねー