「背中をどこまで見せるか問題」

いわなみ家の話

第84話

「背中をどこまで見せるか問題」

田舎に移住し、自営業者となってパン屋を開業する、

アタシの背中を子供たちに見せていけたら…の思いで暮らしてきました。

時間をかけて1個のベーグルを作る代わりに、300円のお金をいただくのも、見て感じてほしい。

そんな気持ちで、レジで接客するのを長女(小4)に任せていたところ、

なんだか最近、ナ・マ・イ・キ。

「このごろ山食失敗してるんですよー、アハハ」

「(完売後に来店し残念がっているお客さんに)10時半オープンなんでぇ、この時間に来てもパンないですよ、アハハ」

「子供たちにふるさとを作ってあげたくて移住してきました(それ、子供が言うな!)」

お客さんとの会話をさえぎって、生意気娘がコピーフレーズを連発。

引きつった笑顔でその場をしのいでいたものの、完売閉店後、カミナリ落としました。

「お母さんさ、遊びでパン屋やってるんじゃないんだけど。真剣なのわからない?あなたがパン焼いてるわけ?あなたが寝てるときに焼いてるんだけど!悲しいんですけど!!これ以上調子に乗るなら手伝ってもらわなくて結構!」

「ごめんなさぁい」

まくし立てて、結果が良かったことはありません。理解してるんだか…。

睡眠不足でイラついてしまった感も否めないので、昼食後、仮眠をとって午後の予定に備えました。

午後は会津青年会議所主催「会津で夢を見よう 会津の魅力再発見」と題したトークセッション。せんえつながら移住者としてパネラーになりました。

その日の夜書いた、次女(小2)の作文より

きょうわたしは、お母さんの会ぎについて行きました。会づわかまつの 会づけいこ堂(会津稽古堂)の3かいでやりました。50人くらいの大人の人に、お母さんはいじゅうの話をしました。もちろんパン屋の話もしました。そのあいだわたしはお姉ちゃんとうしろの方で本を読んだり3かいのたんけんをしたりしました。

ほほう、妹が退屈しないように館内の探検に連れ出してくれたのね。トイレにも付いていってあげてたね。やるじゃん。

帰るときに、会づの牛にゅうとヨーグルトとはちみつをもらいました。うれしかったです。

姉「かえちゃん、作文おわったー?早く食べようよー。紅しょうがいるー?七味はいらんやろ?」

妹「待ってよー、あと1行書かなきゃ。何書こう?」

つかれたので、よるごはんはよしぎゅうにしました。

吉牛。最後の1行に、働く母の背中が最も表現されておりました(笑)