「両想いの糸」

いわなみ家の話

第60話

「両想いの糸」

 

先輩創業者の話。

レジュメは以下の通りです。

  1. 事業内容
  2. 創業のきっかけ
  3. 創業初期に苦労したこと
  4. 転換期、きっかけの出来事など
  5. 失敗例
  6. これから創業する人への励ましの言葉

今日、先輩が上記の内容について、商工会議所で話したそうです。あ、アタシのことです(笑)2年で先輩って…恐縮です。

1~5まではこのブログで綴ってきたこと。

では6。これから創業する人へ。

1人でも多くのお客様をゲットしようとするのではなく、1回来店してくれたあの人を離さない努力が大切

創業初期には、インターネット広告や情報サイトが「新規店舗」としてパン屋を紹介してくれたことが何回かありました。

ライターさんは丁寧な取材をしてくれましたが、「掲載は半年間は無料ですが、以降はお金がかかります」とのこと。

「そーゆーことだったんですがー、じゃ、半年だけで結構です~」

以降、宣伝らしい宣伝はせず、情報発信は自分のSNSやホームページ、新聞記事、町の広報誌くらいです。

件の情報サイトによくあるのが、「○○で見た!で15%off」「割引クーポンあり」というもの。

これだと、一時的にはたくさんのお客さんが来ます。「安くなるから」という理由のお客さんが。割引期間が過ぎたら、足が遠のきます。

なんとなく来てみた。

友達がいいって話してた。

今度行ってみたい。

上記のような、初めて来店した(しようとしている)お客さんをリピーターにすることの方が数倍大切だし、儲けも上がります。具体的には、

  • 完売後に来てくれた人には、明日の朝家族で食べようと思っていたパンの端っこでもいいから、あげる。端っこおいしいし。
  • メールの問い合わせには、ちょっと個人的な話を付け加える。
  • お近くですか?えー!そんな遠くからはるばるー!
  • レジで(パンの購入傾向を読んで)、さてはハード系のパンがお好きですね?!今夜は飲みますか?とか。

とまあ、わたしはほとんど全てのお客さんに、えこひいきをしています。

お客さんと両想いになれたら、それはリピーターを獲得したということ。その両想いの糸を離さないことが大事です!

と、力説すること30分。

 

ところで、今日商工会議所に集まったのは、これから創業しようとしている会津美里町内の男女8人のみなさん。

見たところ、20代から60代まで幅広い年代の方が新しい1歩を踏み出そうと、目を見開いて前のめりで聞いてくださいました。

私が話している間じゅう、スマホの画面を叩いている1人を除けば…。

熱心に聞いてくれた参加者から質問も受けました。

「先ほどの両想いの話ですが、どうやってもこのお客さんとはダメだ…てことはないんですか?そういう時はどうしますか」

「もちろん、あります。そういうときは、ドライに諦めて、距離を離していきます。こちらから遠ざかります」

スマホを叩く彼は顔あげませんでしたねぇ。中には、合わない人もいます。仕方のないことです。恋愛も商売も講義も同じなんだね~と妙に納得してしまいました