「ロジカル・レシピ(前編)」

いわなみ家の話

第104話

「ロジカル・レシピ(前編)」

「なせここを鍛えるのか、なぜこのフォームなのか」

目的に合ったフォームや回数をロジカル(論理的)に考えて筋力トレーニングすべきだと説く「ロジカル筋トレ(清水忍著)」が、とってもおもしろかった。

この本を読んだ翌日から、毎朝の筋トレが面白いと言ったら!

「なぜクルミを水につけるのか、なぜ砂糖を加えるのか、なぜこねずにパンチをいれるのか」

以下に、いわなみ家の「くるみパン」レシピを公開し、ロジカルパン作りをお勧めします。

レシピって、分量や材料名よりも、(カッコ)内や、下準備のほうが大事だと思っています。

明日からのパン作りがガゼンおもしろくなることまちがいなし!【なぜ】と【目的】を意識して工程を見ていきます。

材料

  • 強力粉 230g
  • ライ麦粉(粗びき)20g
  • 砂糖 12g
  • 塩 5g
  • 水 166g~
  • ルヴァン種(エキスと粉の比率が1:1.3のもの)70~80g
  • クルミ(しっかりローストしたものを水につける)50g

下準備

【なぜしっかりロースト?】クルミは150度のオーブンで30分程度、クルミの皮が濃い茶色になるくらいまでしっかり素焼き(ロースト)する。温度や時間はあくまで目安。機材によって違うので、目で確認する。

【目的】生クルミのえぐみやアクを飛ばすため。生地と一体化させたときに感じる、香ばしさと歯ざわりの良さのため

【きっかけ】あこがれのパン屋さんで順番待ちをしていたとき、その場所は換気口の真下。「ボヤ?焦げすぎちゃう?」くらいの匂いがダイレクトに頭上にふりかかって…。ガラス窓から工房をのぞいてみると、焦げ茶色にローストされたクルミがオーブンから取り出されているところだった。「なる!あのくらいやっていいんだ!」の翌日、家に帰って実践してみると、香ばしさと旨味、倍増。

【なぜクルミを水につける?】せっかくローストして乾燥させたクルミをまた水につけるのはなぜ?生地にクルミを練り込んで発酵させるとき、ローストしたままのクルミだと、生地の水分を吸ってしまうから。ぬるま湯に10分以上つけたもの(皮の周りのゴミも取れる)を使う

【目的】生地のプルプル感(水分量)を保ったまま、クルミを練りこみ、生地とクルミを一体化させるため。クルミの油分を生地に染み出しやすくして、生地をさらにプルプルにするため

…と、クルミの下準備だけでこんなに(笑)

もう出来たも同然です。

【なぜ砂糖を12g(全粉量250gに対し)】ハード系のパンには普通(普通ってなんや!笑)、砂糖を入れません。ですが入れます。

【目的】①天然酵母が発酵中に食べる用 ②焼き色をちゃんとつける用 ③保湿用 以上3つの用途のため

①天然酵母の発酵は一次発酵に平均8時間以上を要します。酵母はブドウ糖(砂糖や小麦粉に含まれる)を食べてガスを出し、パンを膨らませてくれます。天然酵母の発酵は長時間なので、エサ(砂糖)を切らさないように入れます。パンを甘くするためではありません

②発酵中に酵母によって糖が食べつくされてしまうと、最終段階の焼くときになって焼き色が付きません。焼き色の薄いパンはとても残念。そんなことにならないように砂糖を入れます

③ワタクシ、実は、飲むヒアルロン酸(サプリ)を始めました(ほんと)。パンもそうです、内側から保湿することも大事。砂糖はそのためです

…ウンチクだけで本文が終わってしまいました。

これがロジカル・レシピです。後編はいよいよ作り方です。