いわなみ家の話
第100話
「現場の声」
行ってきました!2年に1度大規模に行われる、パンとお菓子の関連産業展示会「モバックショウ2023」。
幕張メッセのブレーカー落ちるんじゃないかという程の大型電気パン窯、発酵器、工場用ベルトコンベアが数えきれないくらい並びます。
入場者(ワタシだけ?!)のお目当ては、やっぱり試食。お腹をすかせて会場に乗り込みました。
「この窯でこんなパンが焼けます」
「この粉ならこんなパンも。フィナンシェやどら焼き、ピザやフォカッチャも!」
製粉業者や機械メーカーに促されるまま受け取っていたら、両手いっぱい、腹いっぱい。
試食だけじゃこの出張、経費で落ちない…ですよね~(笑)
ハイ、ほんとうのミッションは、最新の小麦事情や、パンとフィリングのアイディアを取り入れ、たくさんのパン職人が生地を触っている、職人たちの手元を生で見ることなのです。
「この粉で!」「この窯で!」と力説しているパン職人は、粉や窯の会社から招へいされているのでしょう。
有名シェフのデモンストレーション(実演)には、人だかりができていました。
「ブルーベリーとクリームチーズのベーグル、デモやってます~。ご試食いかがですかー?」と、製粉会社のスタッフが呼び込みをしていました。
ブースの中ではシェフが、格好よくインカムマイクを付けてベーグルの生地を触っているところ。
シェフ「えー、このセミドライのブルーベリーは…」
助手「ドライです。戻した(下処理)ものです」
シェフ「あ、そうなんだ。で、クリームチーズは30グラム」
助手「50です」
シェフ「あ、また違いました。いやぁー、いかに現場に立ってないかバレバレですね~」
シェフは自嘲して、周りの笑いも取っていましたが、そんなんでいいわけ!?
人だかりのおかげでシェフの手元は見えませんでしたが、「ま、見なくてもよかったかな~」と、ベーグルを頬張りながらブースを後にしました(でも食べるんかい)。
1泊2日の出張、夜の部は「パンと料理のマリアージュ」を味わいに、とあるビストロへ。
出張の相棒は、料理人の親友Tちゃん。パンと料理の私たちは、この日のために日程を合わせて、おまかせのコース料理を予約しました。
前菜の「新玉ねぎのムース」に、米麹を使ったパンがこの上なくマリアージュ。
はぁ~と、ため息をついているときに、その声はオープンキッチンから聞こえて来ました。
「ったくー、何回言ったら分かるわけー?」
丸のまんまの鶏をさばこうと苦心している若手女性スタッフに、男性シェフが放った言葉でした。
Tちゃん、シャンパーニュを飲む手が止まります。私たち2人にはっきり聞こえてしまっています。
「料理は全部おいしかった。だけど、あの声が聞こえてきたのが評価の全てだね。味、雰囲気、ホスピタリティー含めての支払いだもん」
高くて美味しい料理を食べ終わっても、「おいしかったねー」だけじゃ済まさないのが40代の私ら。大人(オバサン?)になったもんだ。
さて、2人の個人事業主は鎌倉と会津に戻り、それぞれの現場につきます。
お客様は見ている、そのことを肝に銘じて、今月半ばには店頭販売再開です!
【3月19日(日)の予定ですっ。また改めてお知らせします】
【3月12日(日)店頭販売再開です!】