「パンでご飯を食べる」

いわなみ家の話

第149話

「パンでご飯を食べる」

先日の日曜日、入店してきたお客さんが土間をぐるりと見渡したあと

「パンだけで、生活されているんですか?お仕事のほう…」と。

「ええ、はい(笑)パンだけでご飯食べさせてもらってます」。

店主の面目にかけてちょっと補足説明を。

日曜と火曜がパン屋で、木曜と火曜がお届けパン(発送)またはパン教室の一週間で生計を立てています。

シンジラレナイ・・の表情が隠せないお客さん、なおも不思議そうに古民家の玄関や土間をチラ見。

「お家は、別のところに?」

「あー、ウチは、店舗兼住宅です。ここは玄関。家族も使います」

玄関先にのれんを掲げ、簡易的な机を出してそこにパンを並べ、お客さんからお代をいただいてます。

店舗兼住宅はこだわっていた訳ではありませんが、結果的には、私にとって、働きやすいベストの形だったようです。

例えば街中にテナントを借りてパン屋を始めていたら、続かなかっただろうと思います。賃貸料を払えない・子供の面倒を見られない・睡眠時間が減る、の三重苦に陥っていたことは想像にたやすいです。

(パジャマでも仕事できるのが、店舗兼住宅の最大の魅力)

続いて、パンを買ってもなかなか帰ろうとしない別のお客さん。ご主人と2歳くらいの娘さんは外で待っているようですが?

「ひとりで、パン屋をしていらっしゃるー、ですよね。お話しをききたくて、福島市から来ましたんです。終わるまで、待ってます」

どうも、お悩み相談のようです(^^)

接客の合間を縫って、少しずつ話を聞きだしていくと、

「出身はモンゴルで、餃子の店を出したいんです。餃子、皮から」

はいはいはい、いいじゃないですか「餃子でご飯を食べる」(これ、シンプルに最高の夕飯、笑)

若いころ、出張先のウランバートルで食べた、ホウトウのような太麺が入ったスープがとてもおいしかったことを思い出しました。たしか羊肉の出汁でした。そう、小麦のおいしさをガツンと味わえるのが、手作りの水餃子ですよね。

私のアドバイスはこうでした「いきなり店というより、お家で餃子レッスンをしてみたらどうですか?皮から作るなんて、興味ある人いっぱいいますよ。それに、皮を伸ばすときの麺棒の使い方とか、手さばきを間近で見られるんでしょう?お教室、やってみたら?」

彼女の餃子が食べたくなりました。

パンひとつ、餃子ひとつで、ご飯を食べていくことは簡単でありませんが、まずは一人のファン(の胃袋)をつかむことからだと思います。がんばって!