いわなみ家の話
第145話
「味方は時間」
ここ3日、パン教室のレジュメを作るために、PCと向き合っていました。
その中から1つご紹介。
自家製天然酵母(ルヴァン種)を使うメリット
いわなみ家のパンはすべてにルヴァン種を使っています。簡単に言うと、「小麦粉+果物の酵母エキス(液)+ヨーグルト(乳酸菌)」を発酵させた、緩めのパン生地(塩なし)です。
パンの製法のひとつに、パートフェルメンテ(パート=生地、フェルメンテ=発酵済みの)法があります。一種の前種法です。日本語で発酵生地とも言います。シンプルなバゲット(フランスパン)生地の一部を取り置き、次回の生地仕込みのときに混ぜ込んでこねます。発酵生地ありのバゲットと発酵生地無しのバゲットでは、風味や深みが全く違います。
ルヴァン種も、このパートフェルメンテ(発酵生地)法に似ています。前日に発酵させておいたルヴァン種を翌日以降に使うことにより、かみしめるほどに味わい深いパンになります。また、ルヴァン種は、イーストに比べると発酵力が3割くらいしかありません(イメージ)。イーストなら2時間で一次発酵が完了するところ、ルヴァン種だと6時間はかかります。
パン生地がいい風味になるために必要なのは「時間」だと考えています。小麦粉は手のひらに乗せても砂粒よりも小さいのですが、その芯まで水を吸わせることにより、初めて粉の味がわかります。短時間で発酵が終わってしまえば、粉の芯まで水が行きわたっていません(お米の炊飯と同じ)。弱い発酵力だからこそ時間がかかり、それが利点になります。
発酵に時間がかかること(一次発酵で6時間以上~)と、発酵力が弱いことは、子育て真っ盛り10年前の私には大いにメリットがありました。赤ん坊が寝静まったころに成型できるように生地を準備しておいたり、一次発酵中に生地も私も子供も昼寝したり。発酵がゆっくりなので、絶対6時間後!とはなりません。多少ずれても問題ありません。
パン屋をはじめてからは、一次発酵中の午後はきっちり昼寝を確保しています。パン屋の睡眠時間を確保するという点で、ルヴァン種を使ったパン作りは有益です。