いわなみ家の話
第122話
「パンペルデュからの卒業」
今でも、パン作りでつまずくと、10年以上前のノートを見返します。
パン学校時代のルーズリーフより。
- ペトリサージュ(まぜ、こね)
- バシナージュ(加水)
- ポワンタージュ(一次発酵)
- ディビザージュ(分割)
- ファソナージュ(成形)
- アプレ(二次発酵)
- キュイソン(焼成)
まだ覚えているもんだ…!(将来、フランスのパン屋さんで働くのが夢。パン用語だけは覚えておこう)
フランス人シェフはたまに日本語をしゃべるのに、授業中はオールフランス語。もちろん隣に通訳さんをつけて行われました。
授業は週2回、午前9時から午後4時まで。毎回、3種類のパンを教わるのですが、バゲットは毎回必ずカリキュラムに組み込まれていました。
長さ60センチ超のバゲット4本×週2。家の冷凍庫は常にパンパンで、バゲットをもらってくれる友人探しに忙しかったほどです。
余剰バゲットに困っていることをシェフに伝えると「パンペルデュ」を教えてくれました。年月は経ち、レシピは我が家流ですが。
【アパレイユ(卵液)】
全卵1個、牛乳(あれば生クリーム。うちにはない)100ml、砂糖大さじ3まぜまぜ
【作り方、食べ方】
3センチ厚さに輪切りにしたバゲットの両面にアパレイユを浸し、一晩おく。フライパンにバターをとかし、美味しそうな焦げ目がつくように焼いてできあがり。お好みでメイプルシロップやシナモンパウダーをかけても。
そうです、フレンチトーストと同じものですが、食パンよりフランスパンで作るほうが断然おいしいのでお試しあれ!
10年経ってもバゲットがうまく焼けない母は、失敗する度にパンペルデュにしてごまかしてきました。子供たちには好評?で、
「あの、フランスパンの失敗のやつ、また作って!」
と催促されますが、心中フクザツ、汗。
【パンペルデュ pain perdu 】ペルデュはフランス語perdre(失う)の活用形で、失われたパン、つまり固くなったり(わたしが失敗したり)して価値のないパンってことなのです。
母ちゃんはパンペルデュのためにバゲットを焼いてるんちゃうんや~!
そろそろパンペルデュからの卒業です。最近、バタール(バゲットより短いフランスパン)が焼けるようになりました。お店にも並びます。