いわなみ家の話
第108話
「元家主たちの置き土産」
先日、我が家の固定資産税を全納で支払ったことを実家(福岡市)の母に伝えたところ、
母「それ、月額でしょう?」
私「いや年額だけど…」
たいそう驚かれました、笑。
博多湾を一望できる実家のマンションは、この古民家の10倍以上の固定資産税だそうで…。
税制上は、無いに等しい我が家の資産価値ですが、私にとっては埋もれたお宝がザックザク。
雪解けから間もない4月にはスイセンやフキノトウ。続いてムスカリ、チューリップ、ヒヤシンス。そして5月の今、シャクヤクが濃いピンクの大輪の花を咲かせています。
全て、元家主さんたちが球根を土に埋めて世話をしてきたのだと思うと、改めてラッキー物件をゲットしたものだなぁと思います。
でも、いいことばかりじゃないのが、格安物件。
移住初(令和1)年度は、この5月の運動会シーズンに、我が家の屋根裏でも毎晩運動会が繰り広げられていました。
チュー学校の運動会。
人間たちが寝静まったころ、アイツらは屋根裏で活動を始めるのです。あっちへコツコツコツ、こっちへカタカタ…。気味が悪いったらないのです。
チューコロ、デスモア、一発退場、強力粘着シート…。ホームセンターで買い漁った各種毒エサとトラップを家じゅうに仕掛けると、なんと翌日には息絶える寸前のチュー太郎の姿が。
当時小1だった長女は彼の目をのぞき込み、「けっこうかわいい、ミッキーとは違う」といって詳細にスケッチしていました。
パン工房建設予定地でも出くわしたので、血の気がひきました。開業予定の冬までにはデスモア(もっと死んで)いただかなければ、と。
(この家の主はチュー太郎一家だったのか)
現家主の執念が実ったか、一家は姿を見せなくなりました。思えば、パン屋の材料は彼らの好物(小麦粉、ナッツ、ドライフルーツ)ばかり。すべての材料を密閉容器に保管し直したのがよかったのかもしれません。今でも気は緩められませんが。
この春から我が家の周りを野良猫「かのこちゃん」がうろつくようになりました。エサは与えないにしてもかわいがっています。チュー太郎ジュニアが戻ってこないように、番ネコよろしく。