いわなみ家の話
第102話
「失敗から学ぶパン作り②ハード系のパン」
いきなりウンチクから始めます。
そもそも「ハード系のパン」って日本の変な言い方らしいです。ハード、固い系のパンって分かりやすいですけどね。
おフランスでは、バゲットやカンパーニュやパンドミなどは「パン」、クロワッサンやデニッシュなどバターや砂糖をたっぷり使った甘いパンは「ヴィエノワズリー」と分類されるから、いわなみ家のパンは全部「パン。」となります。
でも分かりやすいのがいちばん!今回は「ハード系のパン」の失敗や虎の巻をお送りします。
①準強力粉(フランスパン用粉)でなければハード系のパンは作れないのか?
【答え】いいえ。私は強力粉でカンパーニュを作っています。いわなみ家パンのハード系代表商品であるノアレザンやナッツとチーズのハードパン、パンオフィグも強力粉です。
あるとき準強力粉の発注を忘れました。業者の配達は明後日だし、ネットオーダーでも明日か…間に合わないな~と悩んだ末、山食に使っている強力粉で代用してみました。
違いは歴然(汗)
ふだんよりふんわり感120パーセント増のハードパンができましたが、悪くない焼き上がりでした。
失敗は成功の母。この失敗から改良を重ねて、今に至ります。
②強力粉でなければ食パンやロールパンは作れないのか?
【答え】いいえ。また発注忘れて(忘れすぎ!)、準強力粉(フランスパン用粉)で代用したことがありますが、ちゃんと焼けました。
①と②で、いつもの粉を変えたのに、なぜうまくいったのか。それは、こね方も変えたからです。
・ハード系のパンは、こねない。
・ふんわり系のパンは、こねる。
この基本を守れば、ハードもソフトもイケるのです。ハード系のパンは、「こね」ではなく、生地を折りたたむ「パンチ」で生地を繋げます。
ハード系のパンでも強力粉がおすすめの場合は以下のようなパンです。
・発酵のパワーが(イーストより)弱い天然酵母を使う場合
・具だくさんのハード系パン
・グルテンのない(少ない)ライ麦粉や全粒ふすまを使いたい場合
・小さいサイズ(生地量100グラム以下)のパン
パンは自由だ~絶対なんてない!なんてカッコいい言葉で締めようと思いましたが最後に
③準強力粉(フランスパン用粉)ならフランスパンが焼けるか
【答え】そんなに簡単に焼けませ~ん。あの(フランスパン用粉)の表示、やめて欲しいよね~。