「パンの顔見知り」

いわなみ家の話

第94話

「パンの顔見知り」

ヤマト運輸から小包が届いた。

送り主の欄には、先週お届けパンを送ったはずの愛知県のお客さんの名前。

まさか…

パンがご不満で、送り返された…?

前回送った時には「できることなら毎月お取り寄せしたい」と最上級の感想をいただいていたのに、落胆させてしまったのか。

恐る恐る箱を開けてみると、やっぱり中身はパン。

ベーグル4種、ドライフルーツとナッツのハードパン、黒ごまのパン。アールグレイのメロンパン。あれ?

これはいわなみ家のラインナップにないパンたち。

それにしても、見れば見るほど私のパンに似ている(一瞬ほんとに焦った)。

同封されていたメモには、「突然送り付けてごめんなさい!聡子さんに食べてもらいたいと思って。迷惑だったらすみません」。

詳しく伺うと、近所にある天然酵母パン屋さんがいわなみ家のパンにとても似ていてよく通っているそうだ。

送り付けたくなるのもよく分かる。似ているんだもの。

似ているのは、使っている材料やパンの形ではなく、パンの質感のようなもの。

実は以前から、インスタグラムで見つけて、ひとりパン屋の悩みを共有しあっていたのが、この「soytobio(ソイトビオ)」さんだった。

難関のお取り寄せ合戦に挑む意欲はなかったけど、いちど食べてみたいと思っていた!

 

さっそく翌日の朝食に娘たちといただいてみた。

家族にいわなみ家以外のパンを食べさせるのは毎度緊張する。

パン屋店主兼母のプライド、今回はいかに。

丁寧にリベイクして、一番いい状態でパクリ。

「お、おいひい~。口の中が楽しいよぉ」と一番に反応したのは、何を隠そうアタシでした。いやいや、旨い!好み!わたしも通いたい!

(いわなみ家のお客さん減る?)

母「怒らないから、答えてよ。どっちがおいしかった?」

長女「怒らない?えーっとね、ママのノアレザン…に似てる、このドライフルーツのやつ」

コントみたいなご名答!

よい刺激を受け、今日も今日とてパン生地仕込み。

顔も名前も知らない、パンの顔見知りsoytobioさんに、食後すぐハガキを書きました。ごちそうさま