いわなみ家の話
第92話
「セイへの関心」
雨の三連休。
子供たちが暇を持て余しはじめた様子なので、午前中のパン仕込みを中断し、近所の同級生Мちゃん(小4)も誘って図書館へ行ってきました。
それぞれ持参した本を返却カウンターに提出すると、三人三様バラバラになって本を探しに行きます。この後ろ姿を見送るのが結構好きです。
どんな本を選んだのか、帰り際に得意そうにバックの中身を見せてくれるのも楽しみ。
「よーちゃんママー、これ見つからない」
Mちゃん、検索機の前で困っていました。
どれどれ。
タイトルは「死後の整理…」
子供たちが読みたい本、探したい本には、口を挟まないようにしているけども…Mちゃんどうした。
「オッケ。じゃ、この番号をメモして、向こうの棚を探そう」
メモを片手に周辺のタイトルを見回してみると、「生前贈与」「遺言書の書き方」「遺品の片付け方」。どうも毛色が違うようです。
「マンガだと思ったけど、ないならいいや~」
「そう、いいの?じゃ、帰ろっか。で、みんな何を借りたのー?みせてみせて」
「生理の本!」
4年生女子、声をそろえて答えます。
いいねいいね、知りたいよね。成長してるなあ。
もしかして「セイリ」検索でヒットしたのが「整理」だったんじゃ…。
興味の先が、死後の世界かと思ったよ~、ホッ。まだ早いよ~と思ったものの…。
帰宅後のMちゃんとママとの会話。
Mちゃん「難しいとこのコーナーに行っちゃった」
ママ「どんな本のとこ?」
Mちゃん「【身近な人が亡くなったら】の本のとこ」
ママ「そっか。あった?読みたい本」
Mちゃん「セイリの本、なかったけど、パパとママ死んだらイヤだと思ってボーッとしちゃった」
図書館は知の扉。
生も死も性も、知るに早すぎることはないんだな。