「何も足さない、何も引かない」

いわなみ家の話

第80話

「何も足さない、何も引かない」

 

深夜のパン焼きが一段落すると、二次発酵待ちの間、

Tver(テレビ番組見逃し配信アプリ)でバラエティ番組を見ることもあります。

お笑い芸人が料理の腕を振るうという企画。

漫才コンビ「博多華丸・大吉」の大吉さんが「料理」したのはスパゲティミートソースで、表示通りに茹でたパスタの上に「キューピーミートソース」を表示通りに温めてかけるだけ。

「何も足さない、何も引かない」と宣言し、袋に書かれた説明通りに作った「マニュアルパスタ」は、高順位に付けました。さすが大吉先生。

レトルト食品の温め方、冷凍食品の解凍方法、カレールーの箱の裏の説明書き、料理本のレシピ、(手前味噌ながら)いわなみ家の手書きレシピ。

ぜんぶ、何度もトライ&エラーを繰り返し、練りに練って、一番シンプルな形で何行かに書きおろしているものです。

だから、「何も足さない、何も引かない」。レシピへリスペクトを。

足す場合でも、「お好みの野菜(100g)」のg数は守りたいもの。

いつかの土曜の昼、「キューピーあえるだけパスタソース(たらこ)」に、かさ増しを狙ってキャベツやシメジをどっさり入れたら、「味が薄い」「おいしくない」とクレームが入り、結果、食べ残ることに。

わたしより上を行くのが、「何でも足す」義母です。

義父母が会津まで遊びに来てくれるときは、義父が喜ぶので必ずカレーを作ってふるまうようにしているのですが、2年前も、私は「バターチキンカレー」を作りました。

パンの仕込みで忙しい私に代わって、翌日のランチに義母が「昨日のカレー」を準備し…義母がカレーに足していたのは…「白菜の漬物」!

「ね、(食べても)分からないでしょ?」

と言われて、私はスプーンが止まりました。

そういう問題では、ない。

もはや、異物混入レベル。

先日も、娘たちが料理している写真をレシピ付きでLINEしたら、「おいしそう!ばあばも、キノコや野菜増やしてつくってみよう」と返事が来ました。

おねげぇだー。神様義母様仏様。

何も足さないでくれー。