いわなみ家の話
第48話
「賞味期限は舌が決める?」
今年もシュトーレンへのたくさんのご注文ありがとうございました(ご注文は締め切りました。わたしの体力が余れば、追加の募集ができるかもしれません)。
シュトーレンは赤ちゃんのイエス・キリストをおくるみで包んだ様子を表した、クリスマスの発酵菓子です。
いわなみ家のシュトーレンは2017年のレシピ考案から変わらず、同じ材料と製法です。
とは言うものの、4年前は、自分で作ったシュトーレンがこんなにも時間の経過と共に味が変わっていくものとは知りませんでした。
指摘してくれたのは、2017年当時、大阪迎賓館の厨房でフランス料理を担当していた友人でした。
「師匠、1ヶ月経ったシュトーレン、今がいちばんおいしいよ?!」
(なぜかこの友人はわたしのことを昔から師匠と呼びます・・笑)
作り手の私でさえ、製造日から1ヶ月経ったシュトーレンは食べきってしまっていたのに、友人は大事に保存して味の変化をウォッチしていたらしいのです。
いわなみ家のシュトーレン作りはその年の夏から始まります。大きな瓶にドライフルーツを入れ、その上からラム酒をなみなみと注ぎます。これで最低3ヶ月は漬け込みます。
この、ラム酒漬けのドライフルーツが生地全体にしみわたり、自家製天然酵母とともに、焼き上がり後も熟成が進みます。
ところで味噌は、仕込んだあと熟成が進むと「塩角(しおかど)」が取れて、まろやかになります。シュトーレンも「ラム角」が取れる感じでしょうか。
製造日すぐ・・ラム酒で酔っぱらいそう。子供や妊婦さんは食べちゃダメです。生地はまだパサついたところがあり
製造日から2週間め・・ラム角が抜けてきます。食べ始めてOK。生地はホロホロ。うちの子供らは喜んで食べます
製造日から1ヶ月め・・ラム角が取れ、生地は超しっとり。もったいないので子供にはあげません(笑)
製造日から2ヶ月め・・この頃のシュトーレンがいちばん好み!と言ったのは製菓学校の講師をしている別の友人
シュトーレンをお渡しするときのメモには「製造日から2週間後~食べ始めてOK」と書いておきます。その後の熟成具合は、みなさんの舌で感じ取ってみてください。
クリスマスまでのカウントダウンとして少しずつ切り分けて食べるシュトーレン。
お節料理に並べてみるのも一考。