「店の名は」

いわなみ家の話

第27話

「店の名は」

 

福島市花園町にあるベーカリーカフェ「Roccia(ロッチァ)」のラインナップ。

山食

ノアレザン

チョコクランベリーベーグル

ショコラオランジュ

イングリッシュマフィン・・他

 

あれ?お気付きの方、いますね?

そうです。いわなみ家のラインナップと同じものがありますね。

ロッチァはわたしの一番弟子、けいちゃんのお店です。

今月で5周年を迎えるロッチァでは、パンの販売はもちろん、曜日ごとに変わるパンのランチプレートやスイーツのセットを提供しています。

そうそう、パンに合わせたオリジナルブレンドコーヒーも美味しいです。

それもそのはず、すぐ隣の「珈琲舎雅(こーひーしゃみやび)」はけいちゃんの旦那様がマスターの、珈琲と器のお店。

閑静な住宅地の一角で18年続く、地元の人たちに愛されているコーヒーやさんです。

 

その、信頼と誠実さを絵に描いたようなマスターから相談を受けたのは6年ほど前、次女が10ヶ月の頃。

「せんせ、折り入ってお話が・・。パンとコーヒーのお店を出したいんだけど、協力してもらえませんか?」

同席したけいちゃんも、背筋をのばして、歳下の私に、「せんせ、お願いできる?」。

「お店をプロデュースてこと?やったことないけど・・やる!」

ここに、なんとも頼りないパン屋開業プロデューサーが誕生しました。セーターを肩からひっかけてる人?!

弟子のほうが自分より先に店を出すという、おもしろい展開です。

マスターは私に全幅の信頼を置いてくれて、その場でプロデュース料の話までしてくれました。

私の仕事は以下の通り

  • 全てのいわなみ家パンレシピの提供
  • 業務用オーブン、発酵器、ニーダー(パンこね機)の選定
  • 業務用オーブンでの焼き時間と温度の調整、試し焼き
  • 大量に生地を仕込む際の指導
  • けいちゃんへの特訓
  • パンの紹介、リーフレットの作成

マスター、けいちゃん、スタッフさんと、毎日集まって、あーでもないこーでもないと、準備を進めました。

学生時代の部活動のように。

私自身、会社員を辞めて以来、久々にチームで働くことがとても新鮮で、「せんせ」と求められることが気恥ずかしくも、ありがたく思いました。

まだまだおっぱいをせがむ次女を抱っこしていても、「世の中と繋がってる、置いていかれてない」と社会復帰を実感していました。

 

けいちゃんは、福島のパン教室に初めて来てくれた人で、生徒ナンバー1。

そして、技術とセンスもナンバー1。

なので、出来ることなら何でも協力するよ、と約束したのです。

5周年おめでとう!

 

「で、何でロッチァなの?」

と、けいちゃんに、お店の名前の由来を聞いたことがありました。

「いわなみせんせー、知ってる?イタリア語でRocciaって、岩って意味なんだよ~」