「○○鬼」

いわなみ家の話

第60話

「○○鬼」

 

パンではなくどちらかと言うとマメの話です。

2月3日、今日は節分。

今の小学校では、自分の治したい癖や性格の一部を抜き出して、「ぼくはわたしは○○鬼を退治したいです」と宣言するそうな。

ええー?なんじゃそれ。

わざわざネガティブな面を探しだしてみんなの前で言う必要ある?

昨日は小3長女が、給食の全校生徒向け放送で、「わたしの鬼はくじけ鬼です」ってアナウンスしたらしいです。

えー、ようちゃん、別にくじけないじゃん?何でも最後までやるじゃないの、お母さん見てるよ。

「でもさ、生活の授業のときに、みんなで考えましょーってあったんだけどさ…、ようちゃん、なんも思いつかんかったけどさ…、ナントカちゃんと同じにした」。

がっくり。

○○鬼に当てはまる○○を書かなきゃ授業終われないシステムにがっくり。

そんな圧の中で、ナントカちゃんと同じでいーや、の考えになっちゃってることも。

敵は自分の中にあり!てか。

これって、いわゆる同調圧力では?

長所や得意なことを発表するならまだしも、「だらだら鬼」「泣き虫鬼」「片付けない鬼」って自分を卑下せんでもよかろーに…。

いつから豆まきがネガティブキャンペーンになった?!

季節を分ける、と節分を理解してきましたが、当地会津の天気予報は、向こう1週間雪だるまマーク。春まだ遠いです。

ちなみに、パン屋店主の場合は、「深夜3時のパン焼きの合間に、柿ピーとチョコレートとコーヒーをエンドレスにしてしまう鬼」。

どーにかしなきゃ。

 

「ここにデジタルディバイド」

いわなみ家の話

第59話

「ここにデジタルディバイド」

金曜日、「今週もやっとおわったーー」と花金モードの小学生姉妹が帰宅後ランドセルから誇らしげに出してみせたのは、タブレットPC。

「わいふぁいがつながるかのテストだって」

福島県内も連日、コロナウィルス感染者の最高数が記録されていて、当地会津美里町にも波及するのは時間の問題といったところ。オンライン授業に備えて、事前の調査らしいです。

ろぐいん、わいふぁい、きゅーあーるこーど。ワォ~、色々知ってんのねー。

ウチの子らは、テレビもスマホもほとんど見ません。流行のものは、学校で仕入れてくるくらい。

つい最近まで、YOASOBIをYOFUKASHI(夜更かし)と言い間違って、ヒットソング「夜を駆ける」を口ずさんでいた我が子はどこへ…。置いてかれそうな母。

 

正月に帰省したとき、母が作る料理がおいしくて毎晩お酒がすすみました。

「レシピおしえて!」

と言ったら

「あー、それは三國シェフのYouTube、それでこっちは奥薗(壽子)さんのYouTubeのやつ」

へ?!

母のレシピ帳は、醤油やみりんのシミがついた、あの年季の入ったノートじゃないのー?

70代の両親は、りんごマークのスマホとタブレットで、夫婦それぞれ、ひとりと2人の時間を尊重して快適に暮らしていました。あの2人にはデジタルディバイド関係ないみたい。

 

デジタルディバイドとは、インターネットやスマホに接触していないために起こる情報格差のこと。

この歳でディバイド生まれてたらヤバ…と心を新たに、電子決済のPayPayを始めました(今ごろ…笑)。

お届けパンなどで、これまでお客さまに振込み手数料を負担してもらっていましたが、ご希望の方はPayPayでどうぞ。

「おとーさん、PayPayQRコード送ったけど、届いてる?試しに10円送って~」

「今度はこっちから送金してみるわー」

「そっちの画面じゃどう見えてるのー?」

矢継ぎ早に73歳デジタル先生に質問する娘43歳。逆転してます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「No copy のおまじない」

いわなみ家の話

第58話

「No copy のおまじない」

 

長らくパン教室を休止していますが、先日、元生徒さんから「レシピを売ってください」と連絡をもらいました。

数年前のインスタグラム投稿を見つけた彼女。投稿写真は、ファイルに無数のインデックス(見出しシール)が貼られているもの。

もし、地震や火災が起きて真っ先に持って逃げるもののひとつが、この「いわなみ家レシピ(原本)ファイル」です。ふたりの娘を小脇に抱えて避難してもなお、このレシピファイルは離さないと思います。

大袈裟かもしれないけど、これがなければいわなみ家廃業です。

数えると原本ファイルには、51のレシピがありました。1つのレシピに3ヶ月かかるものもあれば4年たっても上書きアップデートしているものもあります。

インデックスに書かれたパンの名前は「カンパーニュ、くるみパン、ライ麦ツイスト…」。リクエストにお応えして、たくさんのレシピをコンビニでコピーし、有料(1レシピ600円)でお送りしました。お支払いに感謝します。

おうち時間のパン作りに、手書きレシピがヤル気のサポートになれれば幸いです。質問があったら連絡くださいねー。

 

ところで。

コンビニ10円コピーしたB4サイズの紙1枚が、600円?

と、捉えていた方が、残念ながら、以前、2名ほどいらっしゃいました。

6年ほど前、自宅パン教室に「小さなカフェをやってます」という女性が来ました。

「初めての方は、ベーグルかカンパーニュを習って基本をおさえるのがおすすめです」と伝えましたが「いや、ノアレザン(くるみとレーズン)で!」とのこと。

それならばと、熱意に負けてレッスンしました。

でも、なんだか変な感じだったな…と、数日後、そのカフェのブログをのぞいてみると、「ノアレザンと温かい飲み物のセット」なるメニューが新登場していました。

こちらも、あちらも、お客さまからお金をいただく商売人です。なぜ、あっけらかんと、そんなことができるのか理解に苦しみました。

案の定、彼女がレッスンに来たのはそれきりでしたが。(好きにやってくださ~い)。

もう1人、衝撃的な記憶としては、お友達同士でレッスンに来た帰り、「今日もらったレシピ、コピーする?」と他メンバーに提案した人がいたらしい。

打診された他メンバーのひとりが「ありえない!」と憤慨して私に通報してくれたのです。(あのときは、サンキュー)。

それ以来、ニヒルな顔をしたコケシが「No copy!」と主張しているスタンプを、朱肉でレシピに押すようになりました。あれ、わたしの血が滲んでるかもよ~イヒヒ。

効果はおまじない程度かと思います。

でも、最近では「分かってくれる人がいればいいさ~」の境地。

1回きりのお付き合いはご縁がなかった証拠。何十人と1回ずつ、より、数人と何十回お付き合いできるほうが、豊か。わたしも大人になったでしょう?店主さとちゃん、さとっちゃってるー?!

 

 

 

「コロナの手元」

いわなみ家の話

第57話

「コロナの手元」

 

警報級の乾燥が続く40代の冬の肌。風呂上がり、入念に保湿クリームを塗りますが、寝る前にもう一度、追いクリームすることにしています。

手のひらで押し当てるように、顔全体に~っと。

あ、れ?

顔全体がスースーする。顔全体が歯みがき粉のよう…。

さっき夕飯の皿洗いのあとに「トウガラシ成分配合しもやけクリーム」を指先に塗布したんだったぁ。ヒーハー!

親指除く全手指がしもやけヒーフーもう痒い。

それもこれも、コロナのせいなんです。

 

年明けを待って大手パンメーカーをはじめ、ウチのような小さなパン屋も、小麦粉の価格上昇のために、パンの値段を上げました。(いわなみ家はまだ据え置きます)

輸入小麦は政府売渡価格が定められていて、昨年11月には半年前と比べて19%も高くなりました。これは、リーマンショック時よりもヒドい上げ幅らしいのです。

理由は以下の3点(製粉会社の兄ちゃんに聞きました)。

①北米産小麦の不作②中国市場の買い占め③コロナによる輸送需要の増加で輸送費高騰

珍しく私が世界経済を語っていますが、もっと声高に叫びたい値上がり商品があります。

それは、ぴったりフィット系のゴム手袋!

コロナ前は100枚入り900円程度だったのに、今では1800円もしますわよ、奥さんっ。

小麦の19%なんて話じゃないです、100%ゴムテショック。

思うに、医療従事者以外の人でも、家族の看護や普段の生活にもゴム手袋を使う人が増えたからでしょう。

そんなわけで、ゴム手袋をケチって素手で手洗いしてパン業務していたら、みるみるうちにシモヤケに。

おまけに古民家は蛇口ひねってもすぐにはお湯がでてきませんのよ。

食べ物系の商売にしてはコロナの影響をほとんど受けずにここまで来ましたが、まさかぴったりフィットゴム手袋で打撃を受けるとは。

さてと、眠気覚ましに顔にトウガラシ塗って、今夜もパン焼きますかぁ!