「特定分野の語彙力」

いわなみ家の話

第106話

「特定分野の語彙力」

 

「ケンちゃんがね、バスのこと、ハスって言うんだよ~。パトカーのことは、ハト。可愛いよね~」

乗り物好きな近所のケンちゃんの成長を喜ぶウチの娘はこの春3年生。その3年生も、語彙が増えてきました。

(柿の木の剪定をするために、ハシゴに登っている父に…)

娘「パパあぶないよ!落ちたらコウトウブをキョウダして、死にイタルよ」

(湯船に浸かって温まっているときに…)

娘「じゃーねー、ジョウシュウ蕎麦とシンシュウ蕎麦だったら、ママはどっちが好き?」

母「えっ?上州と信州?そりゃー、いわなみ家は信州でしょ」

娘「長野県警と群馬県警が県境で捜査してるときに蕎麦の食べ比べしたんだよー」

娘の姉「ママー、(曇った)鏡みて。ダイニングメッセージ書いたから!」(ちょいと、お姉さん、死ぬ間際の人が食卓でメッセージは書かないよ、笑)

(またある時は、ちょっと悲しい顔をして…)

娘「あのね、先週はヨーコが血を流して倒れてて、今週はサトコがタサツタイで見つかって…」

縁起でもない!ヨーコは長女でサトコは私の名前や!

特定分野の語彙が発達中の彼女、愛読書は「名探偵コナン」。朝、寝起きでコナン、トイレの中でもコナン。

登場人物をざっと紹介すると、主人公の江戸川コナンをはじめ、小五郎のおじちゃん、阿笠ハカセなど。で、行きつけの喫茶店は「ポワロ」といった調子。

江戸川乱歩も、コナン・ドイルも、明智小五郎も、もちろんアガサ・クリスティも読んだことはない母ですが、娘は超が付くコナンオタク。

ある日の午後、昼寝から覚めてスマホのアラームを止めようと手を伸ばしたら、そばには「かいとうX」より手紙が…。

「お前が世界で一番大事な2つのものをあずかった。返してほしければ暗号をとけ」

家中の暗号を解いて行き着いた先には、両手を後ろにロープで縛られ、口を粘着テープで塞がれた、我が子2人!

私が部屋に入ったとたん「うー、うー!」と苦しそうな声を出すので、近づいてみるとガムテには空気穴が(笑)なんてよくできた自作自演。

母「ちょっと鑑識さんに電話しとくわ。現場検証してもらわなきゃ」

娘「そう!しもんとるとき、耳そうじのフワフワのやつ使うよね。小麦粉みたいなのつけて」

母「そうよね!」(笑いこらえ)(さすがパン屋の娘、小麦粉!)